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貧乏大学生が酔った勢いで奴隷契約したら、美少女だと思った相手が男でヤニカスだった件  作者: 家宝ダンゴ
混乱の打ち上げ

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体は最強、心はナイーブ

バタバタと階段を駆け上がる足音が響く。

大きな扉が勢いよく開かれる。


バァン。


ガラスのテーブルの前に座るヒロに向かって、一人の男が飛び込んできた。


「うぉお!……なんだ!?」


慌てるヒロをよそにノアはヒロの背後に隠れた。

数秒後、怒り心頭のレオンが乗り込む。

その鼻息は荒い。


「隠れても無駄だ!出てこい!このクズ野郎」


血走った目がキョロキョロと辺りを窺う。


「レオン。今何時だと思ってんだ」


ヒロが呆れたように口を開く。

そのまま、立ち上がり背後で息を潜める男をレオンに差し出した。


「……ヒ、ヒロ!この裏切り者!」


「何でだよ!どうせお前が原因だろ」


図星だったノアは静かにレオンの手に渡った。

レオンはニヤリと口角を上げると、ヘッドロックをかけた。


「……ぅぐっ、お、おちる」


「ニコに手を出さないと誓え!」


「そんな、の、……分かんない、だ、ろ」


「まだ言うか!」


ギリギリと嫌な音を立てて絞め技は続く。

騒音で起こされたマキシムが頭を掻きながらやってきた。


「うっせぇなぁ」


マキシムは絞め技を食うノアをスルーするとレオンに向かって口を開く。


「レオン、お前の妹がイヴと同じベッドで寝ようとしてるけどいいのか?」


レオンは目を見開いた。

腕の力を緩めるとグシャリとノアが床に落ちた。

レオンは見向きもせずにベッドが並ぶ部屋へと駆けていった。


マキシムは頭をガシガシと掻き毟りながら息を吐いた。


「仲がいんだか悪いんだか……」


床にしゃがみ、ノアの頬をペチペチと数回叩く。

ハッと青い目が開き、ゆっくりと立ち上がった。


「……今、死んだ父親が手を振ってたような」


「ややこしい冗談はやめろ!お前んとこは、まだ死んでねぇだろ!」


ノアは何事もなかったかのように服を手で軽く払うとヒロの隣に座る。


「あんまりレオンを揶揄うなよ」


ヒロは呆れたように頬杖をついた。


「僕はただ可能性の話をしただけだよ」


「あのなあ……」


マキシムが大きく欠伸をし、ベッドに戻ろうと背を向けた。


「んじゃ、俺は寝るぜぇ〜」


ヒラヒラと手を振り、歩き出す。


「待ってマキシム」


「あ゛?」


「君は僕と来て欲しい」


「は?え?……俺か?」


ノアはコクリと頷く。


「僕と一緒に天下を取らない?」


「……天下!?」


マキシムは何度か瞬きすると吹き出した。

自分の膝を叩き、腹を抱え笑い出す。


「おもしれぇ!天下取ってやろうじゃねぇか」


ノアは満足そうに微笑む。

そして一枚の紙をマキシムに手渡した。


「ん?なんだこれ?」


上と書かれたタクシーの領収書だった。


「よろしく」


「……まずはお前のプール金出せ!」


新規事業が始まりかけていた。




照明の落とされた薄暗い部屋。

レオンは一つのベッドに眠る二人を発見し、目を見開いたまま動けずにいた。

ノアからイヴに変えた怒りの矛先はぐにゃりと曲がり、崩れかけている。


ベッドに並び目を閉じる二人。

その表情は柔らかく、幸せそうに微笑む。


「……ニコ」


レオンは小さく呟くと、ニコにタオルケットをかけトボトボと立ち去った。

その後ろ姿は最強とは程遠い、ただの兄の背中だった。


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