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EP8.5 奴隷契約した相手が、俺より友達と仲がいい

※本作はギャグ・コメディ中心の作品です。

※倫理・制度・恋愛要素などは深く考えず、ゆるくお楽しみください。

 

 俺は畳の上に座り込み、二人の世界を見守るしかなかった。


 缶ビールを口に運ぶ。

 何本目かはもう分からない。

 佐伯とノアは画面にかじりつき、笑いながら撃ち合っている。


 「今の見た? 完璧」

 「うわ、佐伯それ外すの?」


 ノアは佐伯にはタメ口で、楽しそうだ。

 その声を聞いているうちに、胸の奥がむずむずしてきた。


 (……楽しそうだな)

 (なんで俺だけ、ずっと見てる側なんだ)


 酒のせいもあって、考える前に口が動いた。

 「なあノア。俺にだけ敬語使うの、やめろよ」


 ノアの指が一瞬止まる。

 それから、ゆっくり振り返って俺を見た。


 「……命令、ですか?」


 一瞬だけ、空気が変わった。

 俺は慌てて首を振る。


 「ち、違う! そうじゃなくて……その、普通でいいっていうか……」


 ノアは数秒俺を見つめてから、くすっと笑った。

 「了解です。じゃあ、ヒロ」


 ……え。


 次の瞬間から、ノアの口調は明らかに軽くなった。


 「ヒロ、今の見てた?」

 「これがFPS。さっきの動き、どう思った?」


 佐伯もニヤリとする。

 「ヒロ、たぶん何も分かってない顔してる」


 「してねえよ!」と反射的に言い返すと、

 ノアは楽しそうに続けた。


 「ヒロ、今の判断ミス」

 「観戦してるだけで分かった気になってるの、よくない」


 全部、俺に向けた煽りだ。

 しかも、呼び捨て。


 佐伯が追い打ちをかける。

 「ヒロ、口だけは一丁前だな」


 俺は缶ビールをあおった。

 「……だったら、やらせろよ」


 ノアは一瞬だけ俺を見て、

 それから、ちゃんと俺に向き直った。


 「……では」

 そう言って、コントローラーを差し出す。

 「ヒロ。参加、どうぞ」


 持たされた瞬間、嫌な予感しかしない。

 指がふらつく。視界も少し回っている。


 「ヒロ、まず視点操作」

 「違う、そっちは壁」

 「……はい、死亡」


 「早っ!?」と俺が叫ぶと、

 二人は腹を抱えて笑った。


 「ヒロ、才能ゼロ」

 「ヒロ、それは伝説級」


 煽られながら、笑われながら、

 それでも俺はコントローラーを離さなかった。


 操作は最悪。

 判断は遅い。

 でも、笑い声だけは止まらない。


 気づけば、三人で同じ画面を覗き込み、

 缶ビールをぶつけて乾杯していた。


 「ヒロ、今のは惜しかった」

 「奇跡だろ、それ」


 俺は息を切らしながら、笑った。

 「……くそ。ボロボロだけど、楽しいな」


 ノアは布団に寝転び、勝ち誇った顔で俺を見た。

「ヒロ、まあまあだったね」


 俺は缶ビールを傾け、苦笑する。

「……ああ、もうどうでもいいや」


 夜が更けても、笑い声とゲーム音は止まらなかった。

 三人のバカ騒ぎは、まだまだ終わらない…



ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

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作者:しけもく

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