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食料品販売店中間管理職異世界転生物語  作者: VATA


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18/18

その名は『四天王』


 公爵邸の執務室ではアーサーの話を妻のリリエンティーヌと娘のアリアンレーゼ息子のティグルス…家令のセバス…その妻で侍女長のリンダが聞き入っていた。


「それで…モールス達はエルリンゼに辿り着きそこでハルト達と合流することが出来たのだ……我々は応援を信じて戦い続けていた……」

 

 アーサーは一息つくと、あの命懸けの瞬間を思い出した……










 騎士団は獅子奮迅の働きを見せた。

ハルトのポーションのおかげで、戦闘が開始してから6時間以上が経過していても、大きな怪我人を出すこともなく、いまだに砦を維持する事が出来ていた……いや、それは私の都合の良い解釈だ…今は持ちこたえているがこの氾濫がいつ終わるのかわからない。


「大丈夫か今すぐに…っ!……これで大丈夫だ」

「侯爵様…貴重なポーションを……」

「何を言う!お前達こそ得難い自慢の騎士達だ…命を落とすことは許さんぞ!」

「侯爵様!!トゥンク!」


 私は傷ついた騎士に最後のポーションを分け与えた。

こんな事になるのなら、ポーションを無理矢理にでも持たそうとするハルトに遠慮なんてするんじゃなかったな……


「さぁ!みんなここからが本番だ!必ず応援は来る……最後まであきらめるな!」


 剣を取り魔物へと切り掛かる。

そう言ったものの、この状況ではエルリンゼも相当厳しいだろう…


『取引先上得意様の危険を察知しました。拠点を中心に守護結界を発動いたします』


 ハルトからお守りにと貰っていた竜鱗のペンダントが光を放ち、砦の周囲に防御結界が張り巡らされた。


「なんだこれは!?いや今はありがたい!全員結界の中に退避しろ!!」


 一旦全員を防御結界の中に下がらせる。

今のうちに可能な治療を行う……結界がうまく魔物を止めているお陰で、これ以上都市に魔物が向かう事は無いだろう。

しかし結界の向こうには、おびただしい数の魔物が張り付き、虎視眈々とこちらを狙っている。

この結界がどれぐらい持つかわからないが……その時が我らの最後だろう。


『あ、侯爵様みーつけた』


 そんな陽気な声が聞こえてきたかと思うと、白と黒の全身鎧が前線の魔物の中に踊り込み次々と魔物を狩り始めた。


「リカ?!リカ殿か?」


 白の鎧からリカの声が聞こえた……


『はーい!お待たせしましたダイコク商店エルリンゼ支店から追加のポーションを配達に来ましたー!』

「侯爵様!」


 砦の中に入り込んだ黒騎士からリリエンティーヌの護衛騎士のリルルが現れた…その両手にはポーションが大量に詰められた袋を持っていた。


「!!助かる!重症者から先に与えろ!」


 砦の騎士達は受け取ったポーションを怪我人へと与える。

その傷は瞬時に癒される彼等は再び戦線に復帰する……しかし魔物の勢いは衰えることは無い…













「…それで、その困難な状況でリカはどうしたのかしら?」

「…私達が到着するまで、リカとリルルが例の鎧で戦っていたと聞きました…あ,リルルは実家の近所に住んでいる幼馴染なんです」


 リアの質問に目の前に座るアカメは笑顔でそう答えた…

リアの隣のアンジェリカも興味津々話を聞いていた。

 ここはエルリンゼの商業ギルトの休憩室だ。

二人がこの地に召喚されて以降、エルリンゼの復興の為に暫く力を貸していた……アカメは兄と姉に共に侯爵様と帰還しようと誘われたが自分の主人であるハルトと共にこちらに残ることにした。

 破壊された建物や城壁はリカの『建築。』のスキルが絶大な効果を発揮していた。今はすでに各所の修復が始まっており、あと数日で完了すると聞いている……

今まで以上に強固な守りの城壁が完成する予定だ。

 支援の恩恵として、エルリンゼの商業ギルド横にはちゃっかりと『ダイコク商店エルリンゼ支店』が開店していた。

それぞれの店もシャクテンと同様にハルトとリカにより同盟、契約、教育が行われ、次々と新装開店している…塩などの調味料各種もアンジェリカ名義での流通を開始しており再び空前の飯テロが開催されようとしていた。

その為、ハルトとリカはここ数日忙しそうに走り回っている……


『働き過ぎではないのですか?』

『コレは悲しいシャチクの定めなんだよ…あははは…』


と、よくわからない事を言われたがちゃんと二人とも食事も睡眠もちゃんとしていたのでこれ以上は何も言えなかった。


「えーっと…リカが砦にたどり着いた時、結界の周囲にはキラータラタクトとシザーワームの大群に包囲されていたらしいのです…」









『何?この虫…やっぱり森の中は多いわね…』

「キラータラタクト!!シザーワームまで!!」

『つまり害虫ね、ふふっ…流石はハルトさんね…用意周到だわ…』


 リカはそう言って収納から緑のぐるぐるした物を取り出した。


「リカさん…なんです?それ…」

『森の中だから、虫に刺されてはいけないからとハルトさんが用意してくれたのよ…懐かしいわね』


 リカがその物体に火をつけると、何とも言えない香りが周囲に漂い始めた。

周囲の騎士達もその匂いに気がつく……


「なんだ?しかし悪くない匂いだ…」

「故郷に残してきたおふくろを思い出したぜ…」

「なんだろう…この安心感…」


 騎士団の連中には何の変化もなかったが、周囲に群がっていた昆虫型の魔物には効果が現れた。


「なんだ?魔物が弱体化してるぞ!まさかこの煙…魔物に対するデバフ?『毒煙(ポイズンクラウド)』かっ!?」

『いや〜なんと言うか…日本の夏、ゴールドバードの夏…て事かな?』


 今ひとつ理解できませんがこの『緑のぐるぐる』は虫系の魔物に対して絶大なデバフ効果を発揮する魔道具の様でした。


『虫なら…『噴霧キラー』とか使えそうね……?あれ?召喚できない?』

『告 発注された『噴霧キラー』はこちらの世界において人体及び生態系への影響が予測され、現段階では解析、検証が完了していない為、店舗責任者及び取り扱い資格者であるハルトの承認を必要とします』

『あーね…そういえばハルトさん薬剤師の資格も持ってたっけ……』

(このままリルルと二人でゴリ押ししても行けそうな気はするけど……蚊取り線香でこれだけの効果なら殺虫剤なら効果はテキメンなはず………)


 リカは機体の内部のパネルを操作してエルリンゼのハルトに内線電話をかけた。


『ハルトさん?それがちょっと困った事になっちゃって…こっちに来れないかな?』











「キラータラテクトを弱体化……本当にそんな事が……」


 かつてはエクスワイヤ領の騎士として活動していたセバスが信じられない様な顔をしていた……

その気持ちは凄くわかる……


「流石ハルトだわ!」


 アリアンレーゼはずっとそれしか言っていないな……しかし完全に同意しかない。


「それで…どうなりましたの?

「……リカ達が応援に来てくれてな…そこで与えられたポーションで多くの騎士が救われた……」


 アーサーはここまで話すと深く息を吐き出した……

あの後の事を思い出しただけでもまだ体が震えるのは気の所為ではないだろう……


「リカがハルトに連絡して砦で合流する事になったのだ……」














「…私はハルトくんと同行する事になり…デリンジャー姉様が護衛として同行してくれる事になりました…」


 アカメはそこまで話し終えると手に持っていたティーカップを机に置いた……


「ふむ、それで侯爵様を無事に救出したのじゃな…」

「…………」

「アカメちゃん?」


 黙り込むアカメにアストリアーシェが声をかけた。

よく見れば彼女の前に組まれた指が震えていた……


「…私達は知らなかったんです……魔の森の奥に……何が存在しているかなんて……」











「……魔物の死骸が凄いな……まだ動いてるわね……」

「リカの仕業かな?バイコーンの試運転を楽しみにしてたからね…」

「バイコーン?あの全身鎧のことか……」


 今思い出してもあの鎧は驚異的だった。

流石はリカとしか言いようがない……シャクテンで作り始めた時から凄く生き生きしていたのを思い出す。


「アカメこれを周囲に打ち込んでもらえるかな?」

「これは?」


 手渡された矢の横には緑の渦巻き状の物体が取り付けられており不思議な匂いをさせていた。


「虫除けみたいなものかな?あ、火事になるといけないからできるだけ地面を狙ってくれたらいいかな?」


 ハルトくんに言われたように街道の脇の地面に間隔をあけて打ち込んだ……地面に刺さった矢はその中央が折れ曲がり緑のぐるぐるが頂上部に来る様な形になった。

そこから淡い香りを放つ煙が立ち上った……心なしか周囲の魔物の気配が和らいだ様な気がする。 


しばらく進むと結界に覆われた砦が見えた。


「この結界は?」


 デリンジャー姉様が困惑した表情を見せる…まあそうだよね…エルリンゼの結界より頑丈な結界だもんね…


「多分侯爵様に渡した『竜鱗の首飾り』の効果かな?」

「竜鱗?!」

「あ,姉様…これです」


 折角なので私がハルトくんに貰った首飾りを見せた…私達三人が狩ったあのファイアドレイクの鱗をリカが加工したものだ……どんな効果が発揮されるか詳しく聞いていなかったが……そっか…こんな凄い結界が張れちゃうのか……


『ハルトさん!』

「やあリカ…追加のポーションはここに置いておくね……さてと…」


 ハルトに気がついたリカが結界の中に戻ってくるとバイコーンの中から飛び出しハルトに抱きついた……こんな時までイチャイチャしてうらや……ゲフンゲフン

 二人はそのまま空中を触る様な仕草で会話を続ける……

私達には見えないが『ストアマネージャー』なるハルトのスキルの画面が表示されているらしい……


「せっかくだから『噴霧キラーPRO』にしてみよ…召喚っと」


 ハルトの両手に緑色の光沢を放つ筒状の物体が現れた…ハルトはそのまま結界に張り付くキラータラテクトまで近づいた。

そしてその手に持つ物体から白い気体を噴射した。

結界に張り付いていた個体が動きを止めるとひっくり返り,瞬時にその足を内側に収縮させると砕け散るように魔素に分解された。


「「「「「「「え?」」」」」」」」


 効果は瞬間的に……そして絶大だった。

私を含め,姉様や周囲の騎士達も唖然としてしまった。

キラータラテクトはこの森の現れる魔物では弱い部類だが,決して弱い訳ではない。

騎士が討伐する際にも理想は三人で包囲して討伐するのが基本である。

ベテラン騎士にもなれば一人でも討伐は可能だがそれこそ時間をかけて弱体化させてからである。


「おお!流石はPRO!凄い効き目だ!」

「わーほんと凄い!流石はPROね!」


 絶対に違う…PRO以前の問題だ……!!

しばらくはハルトの魔道具?で虫系の魔物の駆除が続いた……

しばらくすると魔物の種類が虫からゴブリンやコバルト、オークに変化し始める…


「この生き物はPROでは効果がないみたいだ…」

『これは有名なゴブリンさんでは?』

「え?有名なの?」


 ゴブリンは比較的どの地域にも繁殖するポピュラーな魔物だ……みんな知っているのである意味有名では……ある……のか?


『じゃあハルトさん私達と交代だね…リルル!行くよ!』

『はい!いつでも!』


 ハルトが下がると同時に二人の機体が魔物へと斬りかかる……


「そこまで驚異的じゃないけど……数が多いね…」

『ねぇアカメ…ここでメイドナイツに変身したりできないの?』

「えーと…基本的には変身する事は可能ですが…守護対象がハルトくんに関係するものの必要がありまして…」


 ここ、デカスト砦は侯爵領であり、侯爵様が契約対象者といえ、騎士団もいる事から守護対象としての認定は弱いのだ…先程から返信を打診しているがストアマネージャーさんから『ほんとに?』『ほんとに変身するの?後悔しない?』と以前とは違うアナウンスが返って来る為…今ひとつ躊躇していた。


『うーんハルトさんを危険に晒す事は出来ないし………ねぇ…ここで頑張ってくれたら後日ハルトさんとのデートをセッティングしてあげるからその権利を守るために戦うって理由では……』

「やります!やらせてください!!お願いします!!!」

『対象の強い労働意欲によりリバースジョブの開始を承認しました』


 アカメの体が光に包まれ,その姿は強大な剣を担いだ『剣侍女騎士(ソードメイドナイツ)』へと変身した。

アカメはそのまま二人の元に跳躍するとその巨大な剣で薙ぎ払った。


『おお!やっぱりアカメの攻撃の方が範囲が広くて効率がいいね!じゃあさっさと片付けましょう!』

『はい!』

「はい!リカ!先ほどの条件忘れないでくださいね!」


 私達が戦っている隙にハルトが怪我人の治療を行う。

侯爵様が効率よくポーションを使用してくれたおかげで大きな怪我をした人は少なかった様だ。


「では我らも微力ながら戦うぞ!」

「「「「おおおおお!!!」」」」


 侯爵様の言葉に騎士達が声を上げる。

砦の上から弓を放ったり,結界付近の魔物は騎士達によって討伐されていた。


 このまま行けば無事に沈静化できる……そう誰もが思った瞬間,それは現れた。








『これでこの森は……!?リルル!!』

『!?きゃあああああ!!』


 リカが何かに気がついた瞬間,リルルのジバンシーが吹き飛ばされた……結界内の壁に激突するとそのまま動きを止めた……

『シップ』の頭部のゴーグルも(XX)の表示になっており機能が停止していた。

ハルトが慌てて駆け寄ると,胸部ハッチが開きリルルが排出された……気を失っているが無事の様だった。


【虫どもが騒がしいと思ったら……人間どもが入り込んでいたのか……】

「!?誰だ!!」


 森の奥から声が聞こえたと思ったら…そこから巨大な鬼の様な男が現れた。


「オ…オーガだと?!」


 騎士達の間に緊張が走った……『鬼人種(オーガ)』は魔の森においても脅威となる上位存在だ。

 オーガ1体だけでも街が壊滅する事態になりかねない…ましてや人語を話す存在など聞いた事がない……


【人間共…此処が魔王様に使える四天王の一人,『剛腕のプロティーン』の縄張りだと知っての事か?】

「!?魔王だと!!」


 アーサーはプロティーンの言葉に絶句した……この世には『魔王』が存在する…この世界では昔から言い伝えのように言われている言葉だ…しかし存在を示す証拠は何もない……しかし今,その存在を明確に証明する存在が目の前に現れてしまった。














「…ハルトさん…私怒ってるんだからね」


 今はエルリンゼに与えられた部屋でハルトとリカはソファーで隣り合わせで話をしていた……というか,説教されていた。


「うっ…しかし…」

「私を守ろうとしてくれたのは…その…嬉しかったけど……」


お,この流れならリカも絆されて……


「でも!ハルトさんに何かあったら私達も悲しいんだからね!!」


…くれなかった…。


「ごめんリカ…でもどうしてもみんなが傷つくのは許せなかったんだ…」

「ハルトさん…」


 ハルトはその手を握り締めると,何度思い出しても胸が苦しくなるあの瞬間を思い返した。







『なんだか知らないけどこれで!!っ?!硬い!!』

「リカ!!うおおおおお!!」


 リカとアカメが連携して攻撃するがその体には傷一つ付かない。


【ふははは!無駄だ!この極限まで鍛えられたプロティーン様の肉体には剣は効かぬ!】


 プロティーンがその体に力を込めると周囲にその闘気の様な衝撃波が吹き荒れた。


「くっ!!」

『何よ!ぐぬぬ!』


 リカもアカメも手出しが出来ない……騎士達も結界の中で自分の身を守るだけで精一杯だった。


【この鍛え上げられた肉体を傷つける事が出来るのは第五位階以上の魔法だけだ!】

「!!第五位階だと!!」


 その言葉に騎士達は絶句する。


「…第五位階?」

『この世界の魔法体系は十段階で構成されています…初級魔法であるファイヤーボールや身体強化,生活魔法などは第十位階…一般的な初級魔法となります…鑑定した結果,この騎士団に所属する騎士,魔法師に第七位階魔法 『ファイアウォール』と『エリアヒール』『ブレイブハート』が最高の戦力となっています』

「!?そんな……」

『迷惑行為は出禁にするわよー!』


 それでもリカはブースターの推進力を使ってプロティーンへと攻撃を繰り出す。


【我の闘気を受けて動けるとは!よかろう!貴様はこの手で始末してやろう!!】


 リカとプロティーンが衝突する…その戦いの余波は砦を覆う結界にも影響を与え小さなヒビが入り始めた…


「このままでは結界が!」

「おのれ!あんな少女に戦わせて我らが何も出来ないとは!!

「公爵様!そんな無理を!!」

 

 公爵様達はリカを救おうと無理矢理にでもその体を動かそうともがいた…


『コンニャロー!』

【フハハ!甘い!甘いぞ!】

『!?きゃあ』

「?!リカ!!」


 斬りつけるリカの攻撃を受け止めたプロティはそのままバイコーンを鷲掴みで握りしめた。


 このままでは皆んなが……また理不尽な出来事が……僕の大事な物を……奪って……

ハルトの心にドロリとした暗い感情が波打った。


『警告!マスター!その力に触れてはいけません!』

「黙れ」

『!!』


 その声がハルトの声だとは誰も気が付かなかった。

ハルトはゆっくりとした足取りで結界を出るとプロティへと近づく。


「その汚い手をリカから離せよ」

【む?貴様……この俺が?!】


 ハルトに気がついたプロティーンは今まで彼の接近に気がついていなかった事に驚愕した。


【お前は……】

「その手を離せと言ってるだろう!!」


 ハルトがその手を振り上げ,プロティーンの腕を振り払った……


【!?】

『!?』

「「「!?」」」


 プロティーンの腕が吹き飛び,バイコーンが地面へと放り出された。


【ぬ!貴様!!】


 プロティーンは瞬時のその腕を再生させるとハルトに向けて戦闘体制をとった。

ハルトの周囲にはかつてシャクテンで見た黒い触手の様な黒い瘴気が纏わりついていた。

 

戦いはいきなり始まった。

互いの拳がぶつかり合い,その両者の拳から血が吹き出した。


【遅い!】


 瞬時にプロティーンは追撃の攻撃を放ち,黒の触手がその攻撃を防いだ。

ハルトの追撃は躱されてしまう。


【フハハ!貴様!戦闘経験が浅いな?】


 ハルトの弱点を見抜いたプロティーンはその巨体からは想像が出来ない程のスピードでハルトを翻弄した。

ハルトの攻撃は当たらず,プロティーンの攻撃は触手に防がれる……

しかし自分の意思で操っているわけではない為,触手もその攻撃スピードに対応出来なくなる。


【憤怒!】


 強烈なプロティーンの一撃を触手がガードしたとはいえその衝撃全てを防ぐ事ができず,ハルトの体は後方に吹っ飛んだ。


【見事だったぞ小僧!残念だが我には魔法攻撃以外は効かぬ!!】


 トドメを刺すためにプロティーンが闘気を纏った拳を振り上げハルトに肉薄した。


『ハルト!!』


アーサー達もリカもその速度に反応できないでいる……このままでは………



『それじゃあ、私の出番かな』


 少女の声が聞こえたと思うと、無数の炎の槍がプロティーンの体を貫抜いた。


「!?炎の槍雨(フレア・レインズ)!!」


 アーサーは思わず叫んだ…第四位階魔法だ。


【!?貴様何者だ!!】


 空中から漆黒のゴシックドレスをまとった少女が舞い降りた……

長い黒髪をツインテールにしたその少女は自分唇に指を当てると背筋のぞくりとする様な笑みを浮かべた。


『お兄ちゃんを傷つけるのは許さないよ?』

『「真希ちゃん?!」』


 ハルトとリカの声が重なった。


実は今日誕生日です 


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