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異常事態




 今日の王城の地下牢は、ざわついていた。

 ――いつもと雰囲気が違う。そう感じる。


 その原因は慌てて出ていった見張りの兵士。


 普段なら牢屋の前で暇そうにしている姿が、今は見えない。

 しかも、出ていってから結構時間経ったが、戻ってきてない。


 長時間囚人を放置するのは……明らかに異常事態だ。

 そう言えば、兵士が慌てて出ていく時に、城内が妙に騒がしい……。


 時間が経つに連れ、囚人達は様子がおかしいと不安になり、騒ぎ出そうとしていた――その時。


「やぁ」


 地下牢の出口付近の階段から、若い青年の声が聞こえてきた。

 それに伴って、階段を降りる二人分の足音。


 反射的に声の方向へ目を向けると、先日自分達のアジトを襲撃してきた見覚えのある二人が現れた。

 一人は鎧を装備した騎士、この王都の守りを任されていた騎士団長。

 もう一人は確か――悪名高き第二王子……のはず。


 その第二王子は爽やかな笑顔を浮かべ、自分達の牢屋の前に来ると、鉄格子越しに俺達を見つめながら無言でニヤニヤ笑っている。

 傍に付き添っている騎士団長は、頭痛そうに顔をしかめる。


「……何しに来た」


 気味悪い笑顔と沈黙の二重攻撃が耐えきれず、犯罪者のリーダー格の男が王子をジロッと睨みつけ、口を開く。

 だが――。


「単刀直入に言う。俺の指揮下に入り、協力しないか」


 ポルソの悪名高い第二王子、カタストロフの一言で、リーダーと牢屋中の犯罪者達は耳を疑う。


「……何?」


 思わず、聞き返す。

 空気が、一変する。


「協力。要は俺の命令を聞け」

「……王子さんよ、ここは兵士の屯所じゃねぇ、ボケるのがちっと早すぎなんじゃねぇか」


 リーダーの男が皮肉たっぷりに答えると、犯罪者達が一斉に笑い出す。

 しかし、カタストロフは気にした様子もなく――。


「俺は場所を間違えてないし、ご飯いつ食べたのも忘れてない。よくわかってないのはお前達だ」

「……何? てめぇ、もういっぺん言ってみろ」

「よくわかってないのはお前達だ。まぁ、死にたいなら止めはしない」


 牢屋にいることも忘れたかのように凄むリーダーと、挑発するようにもう一回言う王子。

 普通のチンピラならこれで逆上するのだが 王都の犯罪者はならない。


「……死ぬ? …………そういや今朝、妙に騒がしかったな……見張りも戻ってこねぇ……」

「俺の話聞く気になったか」


 悪名高い第二王子カタストロフは、ニヤニヤと笑い――。




忙しくて申し訳ありません。

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