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46話 ジャンVSフロンティア

フェブとジャンの戦いに最初に介入したのはマイトだった。


その獣人としてのポテンシャルを余すところ無く発揮し、高速で動きまわる2人の隙をつきジャンの足に蹴りを叩き込み、すぐに離れる。


体重が乗り切らない蹴りのため威力は無いがジャンの攻撃を一撃でも貰うと即死しかねないためヒットアンドアウェイで攪乱しつつ、ダメージを蓄積させる戦法をとっている。


「ん?蚊に刺されたような蹴りだな~。マイト、蹴りっていうのはこういうもんだ!!」


離れようとするマイトに向かってジャンは下段蹴りを放つ。あまりのキレと威力に土が舞い上がりギリギリかわしたマイトもそのプレッシャーに冷や汗をかきつつたたらをふんだ。


「フェブ兄、お兄ちゃん、下がって!!」


ジャンに向かって幾多の矢が降り注ぐ。ジュネが放つ矢をアプリの幻術によって増幅し、矢の雨を作り出した。



「ヒスイ、力を貸して・・・眷族の力を用いて、我が敵の自由を奪え。『根縛(ルートバインド)』」


ユリの詠唱に合わせヒスイが光り輝くとジャンの足元から多数の木の根が生え、ジャンの足に絡みつき動きを止める。


「ちっ!!魔力で強化されてやがる」


ジャンが根を切り落とそうとするが剣は根の中ほどで止まり、簡単には切り落とせない。


根を切り落とすのを諦めたジャンは飛んでくる矢を本物、幻術関係なく片っ端から弾き始めた。


「チャンスだ!!行くぞマイト!!」


ジャンが動けない隙を狙い、一度距離をとったフェブは再び距離を詰めようと走り出す。


ジャンとの距離があと10歩といった所までくると斧をしまい背中のハンマーを手に取った。


マイトもフェブのかけ声に合わせて距離を詰めるために駆け出す。


篭手に魔力カートリッジがきちんとはまっているのを確認すると降り注ぐ矢をかわしつつジャンに肉薄した。


「いくぞ!!大地のハンマー『檻壁(プリズンウォール)』」


フェブが地面に向かってハンマーを振り下ろすとジャンを取り囲む形で地面から土の壁がせり上がってきた。


「やれ、マイト!!」


ジャンに接近したマイトは飛び上がると両手を頭上に振りかぶる。



「『両腕解放:アイシクル・ヘル』!!」


マイトが両手を振り下ろすと壁の内側に冷気が充満し一瞬のうちにジャンは凍りついた。


「よし!!今のうちに封印術を施すぞ!!アプリ、ユリ頼むぞ」


フェブがハンマーを背負い直し、ジャンに近づいていく。


アプリとユリがジャンの周りに魔法陣を描き始めるのを横目にマイトとジュネもフェブに近づいていく。


「ジャン兄・・・元に戻れるかな?」


「兄貴は大丈夫だよ・・・絶対大丈夫だ!!」


ジュネをマイトが励ましつつジャンの様子をうかがう。


「その通りだ!!ジャンがこの程度で・・・ヤバい!!アプリ、ユリ!急げ!!」


「え?」


フェブが叫んだ瞬間ジャンを取り囲む壁にヒビがはいり、一気に砕かれた。


「今のはなかなか良かったぞ。魔女狩りの連中よりいい戦いをするじゃないか」


体から湯気をたてつつ、何事も無かったかのようにジャンが歩き出す。


「おいおい・・・まじかよ・・・」


フェブは思わずぼやきながら斧を取り出す。


「さて、そろそろ本気をだすぞ、ついてこいよ」


次の瞬間ジャンが飛び上がりマイトとジュネの目の前に飛び降りる。


「ジュネ!!危ない!!」


とっさに反応できたマイトがジュネの前に飛び出し、ジャンの振る剣を篭手で受け止める。


「くっ・・・ぐぁぁぁー」


「きゃぁぁぁぁー」


しかしマイトは耐えきれずにジュネを巻き込み吹っ飛び、崖に突っ込んだ。


「さて・・・次は・・・」


ジャンがアプリとユリに目を向ける。


「あ、あ、あ・・・」


ジャンと目があった途端ユリはプレッシャーに負け、座りこんでしまった。


「お前の相手は俺だ!!」


加速したフェブがジャンの目の前に現れ、斧を振り下ろす。


「ふん、フェブか・・・止められるものなら止めてみろ」


フェブの斧を難なく受け止めフェブと切り結ぶ。


二合三合と互いに斬り、払い、受け止め、かわす。


フェブは力では負けることを承知していれからこそ、更に一歩踏み込み、ジャンの剣に威力が乗る前に受け止め、流す。


その戦い方はフェブの体力以上に精神を削る。しかしフェブは止まらず、更に加速する。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


限界を超えつつあるフェブの目は充血し、口からは血を吐き出し、腕や足の筋肉からは嫌な音がしている。


既にフェブの精神には靄がかかり、目の前のジャンのことしか見えない。その脳裏に浮かぶのはただ一つ『ジャンに仲間殺しはさせない』だけである。


「くくく・・・、いいぞフェブ!!お前は最高だ!!」


フェブとジャンの戦いは既にアプリの目には追えず、ただ祈ることしかできない。


「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」


「ハーハッハッハッ・・・!!」





その戦いは突如として終わった。


「ぐふっ・・・うぁぁぁ・・・」


一際大きい吐血をし、フェブが不意に倒れた。


「ちっ!!フェブ、もう限界かよ、しゃあねぇな・・・ようやくアプリの番だぞ?」


ジャンは足元に崩れたフェブを蹴り飛ばしアプリに歩み寄っていく。


「・・・ジャン!!お願い、戻って!!仲間思いで、家族を大切にして、優しいジャンに戻ってよ・・・」


ジャン泣き崩れるアプリに近寄るとその首をつかみ持ち上げる。


「何を言っているんだ。俺もジャンだよ。お前らが知らない、暴力と悪意が大好きなジャン様だ!!」


辺りにはジャンの哄笑が響いた。

いつも拙作をお読みいただきありがとうございます

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