25話 マイトVS魔術師
今日の講義がすべて終わり、一度フェブの工房に集まって準備をすると俺達は闘技場にむかった。
闘技場とは2年目から使用する事ができる施設で、職業ごとに振り分けられた学生が自分の力量を測るための場として使われる。
ここには大規模呪文なども外に漏らさない結界がはられており、また召還用の魔法陣もあるため魔物とも戦えるようになっている。
闘技場に到着するとすでに魔術師達は来ていた。
昨日のメンバーに加え、黒いローブ姿が10人ほど増えている。
「ずいぶん増えたな・・・」
「意外と多いんだな、アプリファンクラブ会員」
「ファンクラブじゃありませんよ・・・」
「う~緊張で腹痛くなってきたよ」
「お兄ちゃんかわってあげようか?」
「マイトさん、緊張した時は手のひらに人と3回書いて飲み込むといいんですよ」
「わかった、人人人・・・うぐぐ」
「手のひらごとは無理だろ・・・
大丈夫だ、落ち着いてやればお前なら負けない」
「ほれ、お前先鋒だろ?大丈夫、お前負けても俺達でなんとかするから」
「あの・・・何か口上を述べているみたいですけど聞かなくていいのですか?」
「・・・貴様ら~舐めやがって~!!
さっさと勝負だ、行けダミアン!!」
向こうから黒いローブ姿の下に青白い顔をした男がリングに登った。
「ほれ、行けマイト。日頃の鍛錬の成果と俺の魔導具を信じろ」
「頑張って下さいマイト」
「頑張れお兄ちゃん」
「気をつけて下さいねマイトさん」
「思いっきりやってこい。うまく戦おうとするな、だせるものは限られているんだ。後悔だけはしないよう全力でいけ」
みんなの声援をうけマイトがリングにあがる。
いつも鍛錬の時着ている胴着にブーツ、今回はそれにゴツゴツした篭手をつけている。
篭手は肘の近くまであり掴んだりできるように指は全部は覆わず、手の甲までしかない。手の甲の中心には紫の魔石が光っている。
「ようし、では・・・始め!!」
先に動いたのはマイトだった。開始の合図と同時に一気に加速し相手との距離をつめる。
最初10mはあった距離が残り3mほどになった時マイトは何かにはじかれた。
「痛って~、なんだ?壁?」
目の前を触ると透明な壁があるらしく、パントマイムをしているみたいになっている。
「私は防御魔術のエキスパート、防壁のダミアンといいます。
あなたは拳闘士のようですね。私の防壁は拳程度では破れません」
「どれどれ?」
マイトは腕をグルグルと回してから構えをとると真正面の防壁にむかって全力で正拳突きを放った。
「・・・痛って~硬いな」
「硬いでしょう。仲間の誰にも破られた事のない自慢の魔術です。
そして私の攻撃は通る。あなたはただ攻撃を受けることしかできないのです」
ダミアンは片手で防壁を維持しつつ、もう片手で空中に魔法陣を描いていく。
完成した魔法陣からは続けざまに炎の玉が出現し、マイトにむかって飛んでいった。
「うわっと!!アチアチ」
マイトは一直線に飛んでくる火の玉をよけつつ、次の手を考えながらダミアンを中心にグルグル回る。
「いつまで避け続けられますかね」
勝利を確信したのか単調に火の玉を放ちつつダミアンは笑っている。
「よし、とりあえず試してみよう。
フェブの兄貴、篭手の力使うぜ!!」
マイトは動き回りつつ、篭手に懐からとりだしたカートリッジを差し込み、魔力を集中させる。
「いくぞ~『拳強化』」
マイトが拳闘士の基本的魔術である『拳強化』を唱える。
これはただ体内の魔力を拳に集めて強度をあげるだけのものである。
拳に光を集めると一気に加速し全身の力を一点に集中させるように右手を振り抜いた。
「くらえ!!『解放:爆発』」
右手の篭手の魔石が光り、カートリッジに充填されていた魔力を使い、巨大な爆発を起こした。
フェブの作った篭手には魔力カートリッジを差し込み特定のキーワードを唱えると、爆発や凍結などを引き起こす機能がついている。
これは一撃の威力の低い拳闘士の弱点を補うために考えられた。
この際、魔力を肘の部分からも射出し、反動を相殺するように作られている。また指向性を持たすことにより、自分が吹き飛ぶことは無い・・・はず
と、フェブの自慢のような説明を聞きつつ、煙が晴れたらリング上にはマイト1人立っており、相手は倒れていた。
若干黒く煤けているが気絶しているだけみたいだ。
「打撃のインパクトに合わせて放つ指向性の爆破だからな、貫通力が同じ魔力量の他の魔術とは段違いだぜ!!」
自分の魔導具が期待通りの性能を発揮したためフェブは1人はしゃいでいる。
「・・・それはいいがマイトまで黒くなってないか?」
「・・・あ~爆発の余波を食らったみたいだな。改良の余地ありだな」
「フェブの兄貴~ひでぇめにあったよ・・・」
「わりいわりい、次はちゃんとしたの作るからよ」
「ば、馬鹿な・・・ダミアンの防壁が破られるなど・・・
くそ~次だ、次・・・
所詮ダミアンは俺達の中ではNo.3にすぎない。
残りを勝てばいいのだ!!」
「なんか負けフラグ立ててるやつがいるなあ」
憎まれ口をたたきつつ、フェブがゆっくりとリングに上がっていった。
「まあ、お前は心配ないだろ。頑張れよ」
みんながマイトの治療(主に自爆による火傷)にかかりきりになっているため一応声をかける。
「せいぜい魔導具の実験台にしてやるさ」
5月6日 本文修正しました
誤字の指摘ありがとうございます
いつも拙作をお読みいただきありがとうございます




