19話 家族
ちょっと短いです
翌朝、みんなを叩き起こすと朝飯もそこそこに出発した。
「このペースだと明るいうちに街に着くな」
「そうだな・・・さすが俺の馬車だ。速ぇぜ!!」
なんだかフェブのテンションがわけわからない事になっている・・・
「フェブ・・・お酒飲んでないよね・・・」
「う~ん、たぶん飲んでないと思いますよ・・・」
アプリとユリも若干ひいている。
「落ち着け、事故るなよフェブ」
「俺がそんなヘマするかよ。飛ばすぜ~掴まってろよ~」
「もしかして、久々に家に帰って鉄が打てるのが嬉しいのか?」
鍛冶中毒だからなぁフェブ・・・養成所じゃ鍛冶場がないから、だいぶフラストレーションが溜まってたらしい。
その後もフェブの暴走は続き、昼には街が見えてきた。
「お、見えてきたな。そろそろ減速しろよ。街のそばは危ねえぞ」
「おう、わかってるよ」
フェブが手綱をひいてスピードを落とす。
街の門から入り、まず俺の家の前に止まる。
「ここで降りな。馬車は俺ん家に置いて更に改造しようとおもう」
「わかった、じゃあまた後でな」
アプリとユリも降り、馬車は走り去っていった。
「ただいま」
「兄様!!お帰りなさい~!!」
扉を開けた瞬間マーチが飛びついてきた。
「マーチ、ただいま。危ないぞ、飛びついたら」
「大丈夫だもん。兄様受け止めてくれるでしょ」
抱き留めて抱え上げながら家に入っていく。
「アプリ、ユリも入ってこい」
アプリ達もおずおずと入ってくる。
「「おじゃましま~す」」
「兄様、あの人達・・・何?」
「お客様だよ、マーチ、自己紹介して」
「マーチ・アークです。兄様の大切な妹です。よろしくお願いします」
「俺は父さんと母さんに話しがあるから3人で話してて」
3人を残して店の奥へ向かう
「父さん、母さん。ただいま」
薬の仕込みをしていたらしい2人に声をかける。
「お、ジャンおかえり。ずいぶん早かったな」
「おかえりなさい、ジャン」
「ちょっと2人ほど友達を泊めたいんだけどいいかな」
「ん?部屋は空いてるけど、どうした?」
アプリ達が泊まる所が無いなど事情を説明し、ついでに店で働きたいという旨を話した。
「まあ、そういうことならいいぞ。どれ、挨拶しに行くか」
両親を連れて3人のところへ戻るとよくわからない空気になっていた。
「マーチちゃんかわいい~。髪の毛サラサラ~!!なんでこんなにかわいいの~!!」
アプリってこんなキャラだっけ?
「だから話を聞いてよ。あなた兄様のなんなのよ!!」
マーチも若干壊れてるなあ。
「あ、あの、2人とも落ち着いて下さい・・・」
ユリはまともだけどパニックになってるな。
「3人とも落ち着け・・・マーチこっちにおいで」
マーチがこちらに走り寄ってくる。
「兄様、あの女なんなの?」
「紹介するよ、俺達のパーティのメンバーでアプリとユリだ、後フェブと2人ほどいる。休みの間、家で一緒に暮らすことになった。仲良くしてくれ」
「アプリです。よろしくお願いします」
「ユリです。よろしくお願いします」
「よろしく。ジャンにこんなかわいい友達がいるとはな。
ジャンの父のデイリーです」
「母のカレンです。よろしくね。こんなに女の子がいると一気に家の中が華やいだわね~今晩はご馳走にしましょう。あっちでの話聞かせてね」
こうして、アーク家での長期休みは始まった。
いつも拙作をお読みいただきありがとうございます