第48話:「しりとり」
〜前回のあらすじ〜
『漣の国』との戦争が終わった。
それぞれが明確になった課題を手に
次回の戦争へ向けて特訓の日々が始まる。
ー自由の国ー
ー王の間ー
ギア
(…『知る権利がある』……か。
癪だが、我には"ヤツ"にも伝える義務がある…)
スティル
「…失礼します、ギアさん。」
ギア
「何用だ。」
スティル
「はい、"例のトーナメント"の件で
主催から開催地が発表されました。」
ギア
「…そうか、また後ほど伺おう。下がってよいぞ。」
スティル
「はい、失礼します。」
ギア
(…悠長にもしてられんな。)
ー次の日ー
ーゼロ視点ー
目が覚めて、身体を伸ばす。
窓を開けて、大きく深呼吸をする。
『漣の国』との戦争が終わって2日後。
昨日は1日中 身体を休めて
今日は"戦争に参加した者達"が集まって
再度、振り返りの話し合いがあるらしい。
〜⋆*¨*•.¸¸♬⋆*¨*•.¸¸♪〜
昨日から、何処からかピアノの音が聞こえる。
綺麗な音色だ。この音を聞く為に
昨日もこうやって窓を開けてぼーっとしていた。
〜•*¨*•.¸♪♪♬…•*¨*•.…………〜
…まただ。
昨日も、何回もこの小節まで弾いて
最後らへんになると、急に辞めて
また初めから弾き直す。
勿体無いなぁ…せっかく良い音色なのに…。
ーアナウンスー
「招集。招集。前回の戦争参加者は
至急、"仮想世界・訓練所"へ。
招集。招集。前回の戦争参加者は
至急、"仮想世界・訓練所"へ。」
仮想世界の訓練所?
なんでだろ?話すだけなら現世でも良いのに。
…ま、いっか!
細かい事は気にせず、走って仮想世界へと向かった。
ー仮想世界・訓練所ー
ーゼロ視点ー
シレイ
「…よし、みんな揃ったか?」
『漣の国』で戦争したメンバーが全員揃った。
おっさんの姿は見えなかったけど
"キング"って言うからには、色々いそがしいのかな?
ヒロ
「おはよう!ゼロ!」
ゼロ
「おう!おはよ!」
リュウ
「ねみぃ…( ̄□ヾ)」
ハドウ
「ダラけ過ぎだろ…」
シレイ
「気を引き締め直せ!
次の闘いは始まってんだぞ!!」
シレイの一言に、みんな驚いて背筋を伸ばした。
シレイ
「…まずは、『漣の国』との戦争、ご苦労だった。
昨日は休養日を設けたが、ゆっくり休めたか?」
リュウ
「おう!バッチシよ!」
スティル
「一人で振り返る時間にもなったからね
お陰で、反省点も浮き彫りになったよ。」
ハドウ
「な!なんなら、今すぐにでも
戦争しても良いくらいだぜ」
シレイ
「…そうか。」
ハドウの言葉に、シレイは人差し指を突き立てた。
一同
「「「???」」」
シレイ
「…1週間後だ。
もう一度、このメンバーで戦争を行う。」
リュウ・ハドウ
「「はぁー!?」」
スティル
「い、いくらなんでも早過ぎない?
スパンが短いっていうか…」
シレイ
「これは"キング"の意向だ。
断るって事は、反逆行為だとみなす。」
ジェット
「め、めちゃくちゃだ…。」
トウシン
「…対戦国は?」
シレイ
「…相手は、『熱情の国』だ。」
トウシン
「なにっ!?"熱情"だと…?」
リュウ
「なんだ!知ってんのか?」
トウシン
「詳しくは知らん。」
リュウ
「オイ!てめぇ"そうゆうキャラ"じゃねぇだろ!!」
ハドウ
「『熱情の国』っていや…確か、"エン"が居るとこか」
トウシン
「キングは"エンバ"殿。
高水準な戦士が揃う、『漣の国』と比肩する実力だ。」
リュウ
(結構知ってんじゃねぇか…)
シレイ
「近頃、有力な新人が入ったそうでな。
こっちとしても、また新人育成の為に
戦争を組むことにしたそうだ。」
ゼロ
「ってことは、俺達の為に?」
シレイ
「あぁ、まとめるとそうなる。
だが、油断するな。
幹部以上も成長してもらうし、当然勝つ。」
…昨日とは打って変わって
一気に緊張感が走った。
まさか、こんな短時間に
違う所と"戦争"なんて、思ってなかったから。
…けど、逆に言えばチャンスだ。
"新人育成"に乗っかって、活躍したら
"幹部"になるのも夢じゃねぇかも。
昇格の基準は分からないけど
強い奴を倒し続ければ、絶対に"先"に行ける。
ヒロ
「ゼロ、頑張ろうね!」
ゼロ
「おう!今度こそ、一緒に闘おうな!」
ヒロ
「…う、うん!」
シレイ
「よし、今日 仮想世界に呼んだのは
"特訓初日"だからだ。
まずは気持ちを切り替える為
各自、組手の準備をしろ。
明日から、課題を与える。
それに伴って訓練を開始しろ。」
リュウ
「おっしゃぁ!やってやるぜ!!」
レイ
「おい、トウシン。相手してくれ。」
シレイ
「あ、レイ!こっち来てくれ。」
レイ
「ん?」
レイだけがシレイに呼ばれた。
…なんか嫌な予感がする。
ゼロ
「ひ、ヒロ!あっち行こうぜ!」
ヒロ
「え?」
ゼロ
「いいから!はやく……」
シレイ
「おい、分かってんだろ!ゼロ!早く来い!!」
…やっぱり呼ばれた。
ヒロ
「え?何かしたの?」
ゼロ
「…まぁ、うん。」
昨日は何も言われなかったから
てっきり"無かった事"になったと思ったけど
…流石に甘くなかった。
シレイ
「呼ばれた理由は分かるな?」
レイ
「コイツ殺せってか?」
ゼロ
「あぁ!?」
シレイ
「…ゼロ、なんで呼ばれた?」
…分かってるけど、認めたら負けな気がする( 'н' )
シレイ
「…お前ら、"厳罰対象"だって言ったな。
来い、司令違反の『罰』を与える。」
やっぱりか…。
俺とレイは、シレイに連れられて
真っ暗な部屋に入れられた。
シレイ
「そこ座れ。」
そこって…何も無いけど、地面に座れってか?
シレイ
「誰が足崩せって言った!正座だ!正座!!」
レイ
「うるせぇな…」
シレイ
「誰の所為だと思ってんだ!!」
この部屋で正座?
"罰"ってこれだけか?
ま、なんでも良い。
これくらいなら簡単に耐えれそうだ。
シレイ
「よし、今から1時間後また来る。
しっかり反省しとけよ!」
そう言って、手錠と足枷をつけられた。
まるで、扱いが囚人みたいだ。
シレイは俺達を残して扉を閉めた。
…沈黙が耳を襲う。
無音、耳を澄ましても何も聞こえない。
ー5分後ー
…正直、舐めてた。
めちゃくちゃ長く感じる。
一切の光も無いから、目の前が"黒"一色だ。
心無しか、耳鳴りが聞こえてきた。
ー10分後ー
…限界だ、正座で足が痺れているのを感じる。
足を崩そうにも、枷の所為で体制が固定されてる。
レイの野郎も…居るんだよな…?
吐息1つすらも聞こえない。
ー15分後ー
…ダメだ、辛すぎる。
何か気を紛らわす方法は…。
コイツに話しかけるのは、プライドが許さない…!
1人でだって…!
絶対に1時間耐えきってやる…っ!!
ー17分後ー
ゼロ
「なぁ、レイ?」
レイ
「話しかけんな。」
ゼロ
「はぁ!?お前が寂しがってると思って
気使ってやってんだろ!!」
レイ
「死ね。」
く、クソがぁ…!!
ー??分後ー
…も、もう何分経ったかも分かんねぇ……。
なんでか分からねぇけど、涙と鼻水が出てきた。
抑えきれない…もう自分が何を考えてるかも
自分自身の制御さえ効かない。
頼む…2度と司令違反しねぇから…出してくれぇ…。
レイ
「…へっ、情けねぇ(笑)」
どうやら、俺の啜り泣く声が聞こえたらしい。
嘲笑うようなレイの声に、俺は悔しいけど安心した。
ゼロ
「う、うるせぇ!
ってか、元はと言えばお前のせいだろ!」
レイ
「あ?お前が邪魔しに来たんだろ?」
ゼロ
「黙れ!お前が抜け駆けしようとしたからだろ!」
レイ
「あ?つまんねぇ事言ってんじゃねぇ!」
気付けば レイと言い合いをしていた。
…思えば、レイだって同じ人の子だ。
こんな空間でずっと黙ってろって方が
正気じゃいられなくなる。
…レイだって、言い合いでもいいから
話をしたかったんじゃないかなぁ って思う。
ま、コイツの事は嫌いだけど
今は同じ"苦痛"を乗り越える為に…協力するか…。
ーガブッ!ー
ゼロ
「いってぇ!お前!噛み付いたな!?」
レイ
「へっ、雑魚が!先手必勝だ」
こいつ…!ガキみてぇな事しやがって!!
ってか、足枷外したのか!?
俺も外してやるっ!!
レイ
「おい!こっち来んな!!」
ゼロ
「うるせぇ!やり返さねぇと気がすまねぇ!!」
レイ
「お前…!マジでだるい…。」
ーガチャ…ッー
シレイ
「よし、そろそろ…」
…あ、1時間経ったのか。
助かった、ようやく開放される…。
俺とレイを見て、シレイが固まってる。
…どうしたんだ?
プルプル震えて、顔を真っ赤にしている。
シレイ
「テメェら…反省してんのか!?(゜Д゜#)ゴルァ!!」
改めて、俺とレイの格好を見る。
…傍から見たら、じゃれてる様にしか見えない…。
シレイ
「追加で3時間だ!黙って座ってろ!!」
ゼロ
「( ˙-˙ )」
レイ
「( ゜д゜)、ケッ」
…何だよ、この地獄。
ゼロ
「…"しりとり"するか?」
レイ
「…りんご。」
ゼロ
「ゴリラ。」
レイ
「ラグビー。」
ゼロ
「そこは"ラッパ"だろ。」
レイ
「うるせぇ。」
…何だよ、この時間。
〜作者の一言〜
文句言っても、ノリ良いレイ君 好きやで(*´ω`*)




