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オオカミさんのかくれんぼ  作者: 筍とんぼ
第一章 海鈴祭準備
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内なる願い

 教室へ向かう途中で、あることに気づく。


(そういえば、演劇部へ取材に行くんだった…!)


 すぐに、ポケットからスマホを取り出し、暁斗へメールをする。


夏夜「ごめん!今日の放課後予定あった!」

  「演劇部の取材」


暁斗「あー!オレも忘れてたわ笑」


夏夜「だから、また今度にしよう?」


暁斗「あー」

  「その取材ってどれくらいかかる?」

  「夜遅くなる?」


夏夜「うーん、どれくらいかかるかわかんない」

  「でも、先輩もいるし、そこは大丈夫!」


暁斗「先輩って、昼休みにきたやつのこと?」


夏夜「そう!」


暁斗「やっぱオレもいくわ、その取材ってやつ」

  「いい?」


夏夜「いいけど…、部活とか大丈夫?」


暁斗「今日はオフ」


夏夜「わかった!じゃあ、放課後集合ね!」


暁斗「おけ」



(ふー…耐えた〜)

 一安心して、胸を撫でおろす。危ないところだった。それにしても、あの暁斗がついて来てくれるなんて予想もしなかった。明日は雪でも降るのだろうか。そんなことを考えているうちに教室の前へと着いた。


 内心ウキウキしながら、教室の扉を開ける。最初はなんともなかったが、入って来た人が私だと気づくと一斉に皆が注目し始める。心配しているような表情をしている。


(あー…)


 暁斗のことを思い出す。和解、というか仲直りというか。それをしたものの、噂は私たちだけが知っているものではない。暁斗に対する誤解が解けていない皆にとって、突然教室へやって来て、呼び出されるという出来事は異常なものだろう。しばらくの()が続くうちに、宇佐美さんが私へ駆け寄ってきた。


「大丈夫だった?…あの人に呼び出されたみたいだけど」

「全然大丈夫ですよ!!実は幼馴染なんです!驚きましたよね?すみません。」


 精一杯の笑顔を見せながら、弁解する。こうでもしないと皆の誤解が解けることはないだろう。あんな過ちを犯さないよう、誤解を解きたい。これは、私なりの謝罪の意味も込めた行動だった。好かれるとまではいかずとも、せめて噂によって嫌われるようなことはなくしたい。その一心だった。


 その行動が功を奏したのか、皆の表情が少し緩んだ気がした。皆は各々の休み時間に戻っていった。言葉はないが、きっと、心の内では少しずつ誤解は解けているだろう。そうであってほしいと願う。


「ふ〜ん?そうなんだ?ほんと?」


 宇佐美さんは首を傾げて、覗き込む。


「本当ですよ!嘘、つくわけないじゃないですか!」

「…。脅されたりしてない?」

「全然!」

「そ。まぁ、なんかあったら相談してね〜」


 そんなやりとりをしている間に、お昼休みの終わりを告げるチャイムがなる。


 半年ほど友達はまだできていないと思っていた。しかし、そんなことはないみたいだ。少なくとも、宇佐美さんがいる。そんな嬉しさと、放課後の楽しみを胸にしまい、午後の授業の準備を始めた。

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