続き9
「いい加減にしろやぁぁぁ! 」
窓からグズグズになって溶けている牛鬼が現れた。
蜘蛛のような姿だが、すでにそれは溶けて煙が出ている。
土砂加持の砂と神砂のせいで相当浄化されていると見た。
「ふふふふ、とうとうここまで来たか? で、直接相手を倒すアイテムは? 」
ビビりまくっている中西君に俺が聞いた。
「無いよ」
「無いの? 」
「ある訳無いでしょ? 貴方の土砂加持のスプレーとそのガスバーナーのボンベだけだよ」
「ええええ? 」
俺が衝撃を受けた。
まさか、近接戦闘用の武器が無いとか。
「これでは直接戦えない。ヒーローとは言えない」
「それは生きてたら考えます」
中西君が壁のパネルを外して盾変わりにした。
「ふははははは、どうやら武器が尽きたようだな? 」
溶けながらも牛鬼が叫んだ。
「土砂加持のスプレーはあると言ったじゃん」
そう言って俺がシャーっと牛鬼の目を狙って土砂加持スプレーをした。
「ぐぁぁああぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁ! 」
牛鬼が油断していたらしくて、両目が溶けた。
「今だっ! 体当たりだっ! 」
<おやっさん>である野崎君が中西君に言った。
「いや、待て。俺がやるの? 」
「体重が無いと無理でしょうが? 」
「ふさげんなよっ! 」
そうやって<おやっさん>の野崎君と中西君が激しく罵り合いをしだした。
「ちょっと! 相手が入ってきちゃうっ! 」
ヤタガラスさんが叫んだ。
牛鬼は死なば諸共と考えたのか、中に入ろうとしていた。
そこで俺がパソコンのモニターを持ち上げて角の部分が当たるように牛鬼に投げつけた。
「あああああああああああああああああああああああああああああ! 」
中西君の絶叫の方が牛鬼の悲鳴より大きかったが、そうして牛鬼は下に落ちていった。




