続き15
「何だろ。お前の祖母は<老公>の話だと相当優秀な祈祷師だったと聞くんだがな」
「いやいや、私、祖母の道を歩まずにサラリーマンですから」
「拝み屋さんって意外と不幸になりますからね。あまり幸せって聞かない」
「力を使った反動で不幸になるんだよね。優秀だとそれも考えてするんだろうけど、やっぱり力が大きければ大きいほど反動あるらしいしね。密教僧なんかでも死ぬ前に苦しんだりとか無理した祈祷の反動が来る人はいるから。だから、神仏にお任せするってスタンスが一番なんだろうけど」
「陰徳積みまくらないと反動が来るとは大神さんにも言われましたから」
「いや、あの刀を振り回すのが陰徳の結果だとすると、それはそれで怖い世界だな」
「いや、貴方もすでに市松人形でどっぷりですよ」
「だよね。こんな風になると思わなかった」
「何となく、<老公>が間違えたんじゃねぇかなとは思うわ。こんな奇天烈な奴が我々がずっと探していた<呼ぶもの>とかぞっとするんだが」
「三鈴さんもぶっ飛んでますからね」
愚痴る<三本首>さんに<おやっさん>の野崎君が飛んでもない事を言う。
「待て待て、ぶっ飛んでいるとは言え、あの子は私の妻となる相手だ。そういう言い方は駄目だろう」
「いや、お前も十分ぶっ飛んでると思うぞ」
「そうですよ。私が言いたいのはお似合いだと言う事です。三鈴さんと貴方がですよ」
「いや、照れるな」
俺が市松人形の姿で頭を掻いた。
別に痒くないけど、習慣的にそうやってしまった。
「いや、わしは少なとくも褒めて無いし、そこの奴も褒めて無いと思うんだがな」
<三本首>が困ったように答えた。
「えええ? 」
俺がちょっとびっくりした。
 




