続き12
「それと、その悪の組織ってやめろ……。お前の想像しているのとは違うぞ」
「なんだってぇぇ? 」
俺がまさかの<三本首>の告白に衝撃を受けた。
「つまり、もっとやばい組織だと言う事なのか? 」
「いや、我らはこの国を支配するものに戦いを挑もうとしているだけで、別にどちらが悪かは分からんだろうに」
「流石は悪の参謀……何という説得力だ」
「いや、悪の参謀呼ばわり止めろっ! 」
「だが、残念だが、俺は三鈴さんの夫になる男。三鈴さんの敵は俺にとっては悪。そこは変えれない」
俺がそう断言した。
「こないだ封印が解けて、あの時しか見ておらんが、あれが正義だと言うのも、いささかどうかと思うが? 」
「夫が妻を信じないでどうするっ! 」
「えええと、面倒くさいやつだなぁ」
「愛とは面倒くさいものなんだ」
「いや、三鈴がお前にとって初めての恋の相手だとお前のババが言ってたが」
「そうだ。世界にたった一つの恋だ」
俺がそう笑った。
「まあ、なんだ、頑張れ」
ほとほと困ったように<三本首>が答えた。
「ああ、当たり前だっ」
俺が笑って、壊れた手で出刃包丁を手にした。
「ボロボロでまだやると言うのか? 」
「それしか、出来ないし」
俺がそう笑った。
「ちっ、仕方ないの」
<三本首>が尾を大きく弾かせて、俺を跳ね飛ばした。
人形なだけにそれだけで身体が軋む。
「何をやってんですかっ! 正面からそんな戦いやって、今の貴方に勝てるわけないでしょうに! 」
そう背後で怒鳴られた。
後ろを振り返ると何かを引きずって来た<おやっさん>の野崎君がいた。
逃げたわけでは無かったんだ。
俺が少し感動した。




