続き13
「<おやっさん>は逃げたわけじゃなかったんだ」
俺が嬉しそうに<おやっさん>の野崎君に聞いた。
「当り前じゃないですか。戦うための準備をしてきました」
「ほう。なかなか、泣かせるでは無いか」
<三本首>がそう笑った。
「ふふふふ、笑っていられるのは今のうちだ。神話を見てみろ。常に英雄は蛇のモンスターに酒を飲ませて酔わせて油断させて倒している。これが、その酒だぁぁぁぁ! 」
パーンって感じで<おやっさん>の野崎君が酒を見せた。
それは全部ウォッカやウィスキーだった。
「おおお、流石だ」
俺が感動した。
「ふふふふふ、このバケツに酒を注ぎます! そして、奴が酔って油断したところを襲うのです! 」
<おやっさん>の野崎君がサバイバル用の折り畳みバケツに酒を注ぎだした。
「なるほど、蛇のモンスターと言えば酒っ! 酒で酔わせて酔ったところで、相手を倒すっ! それなら奴もイチコロだっ! 」
「そうですよ! 安易に突撃とか駄目ですよっ! 相手の方が遥かに頑丈なんです! 我々のような軽い人形の身体で突撃しても、相手になりません! ここはやはり策が必要なのですっ! 」
<おやっさん>の野崎君がそう苦笑した。
「素晴らしい! このバケツに酒を注げば奴も必ず油断して、酒を飲んで酔っ払い隙を見せるだろうなっ! 」
俺も強く同意した。
「いや、本人を前に酒飲んで酔っ払って油断したら倒すとか言ってて、俺が飲むと思うのか? 」
<三本首>がそう呆れて突っ込んできた。
「な、なんてこった! 作戦を読まれてしまった! 何という知能だ! 」
<おやっさん>の野崎君が衝撃を受けた。
「奴は悪の組織の参謀らしい! 」
「それでですかぁぁぁ! 悪の参謀とはっ! 」
俺と<おやっさん>の野崎君が叫ぶ。
「おい……悪の参謀呼ばわりは、恥ずかしいから止めろ……」
さっきまで逃げ惑っていた集落の人が悪の参謀とかひそひそ言ってるのを聞いて、<三本首>が恥ずかしそうに俯いていた。




