続き10
「いやいや、おかしいだろ? はっ! まさか、これが一部の上級階級が下層階級を安い給与でほしいままにする時代と言う事か? 」
オオサンショウウオがそう呻く。
「いや、全然関係ないです」
俺がそう手を目の前でひらひらさせて否定した。
「関係無いんかいっ! 」
オオサンショウウオが絶叫した。
ざくり!
その隙を見逃さずに水島先輩がナイフをオオサンショウウオの延髄と脳の辺りに差し込んでぐりと抉った。
「ぐぁぁあぁあぁぁあ! 」
オオサンショウウオが悲鳴を上げる。
だが、そこは妖のオオサンショウウオだ。
延髄と脳を抉られたのに暴れて動きが止まらない。
「ふほぅ! これは活きが良いぞ! 」
水島先輩の顔が綻んだ。
「馬鹿めぇぇぇ! 妖であるわしにそんな攻撃が効くかああ! 」
オオサンショウウオが絶叫した。
だが、そこは水島先輩だ。
全く躊躇せずにサクサクと切り分けていく。
両手両足、そしてお腹の内臓を除いて行く。
「無駄だと言うのにぃぃぃ! この姿はオオサンショウウオに似ているだけぞぉぉぉ! 」
そうオオサンショウウオが叫んだ。
「ふふふふふ、活きが良いなぁ」
そう水島先輩のほっこり笑いながらガスボンベで網を付けて焼き始めた。
「ああああああ! 止めろっ! 止めろぉぉぉぉ! 」
オオサンショウウオが叫びながら焼かれていく。
すでに、水島先輩はタレも準備していた。
かば焼きのタレを作って刷毛で塗り込みながら焼いて行く。
「流石、水島先輩だ。手際が良い」
俺が感心している間に、焼け続けてオオサンショウウオは何も喋らなくなった。
「なるほど、焼いてしまえば魔も消えますね」
そう三鈴さんも納得して微笑んだ。
「ぐはっ! 三鈴様がっ! 」
「似てきたっ! 」
追儺の実働部隊の人達が衝撃を受けたように俺達を見ていた。
そして、皆が無言の中で、香ばしいかば焼き風に焼けたオオサンショウウオを旨い旨いと呟いて食べる水島先輩を皆が無言で固まったまま見ていた。
「素晴らしい」
完全に浮いていたけど、<おやっさん>の野崎君も感動していた。




