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続き9

「いや、旬のものは分かるけど、何故、コオロギ……」


 河村先輩が突っ込んできた。


「低糖質で高タンパク。元々長野や秋田の一部では食べられてた歴史がある。伝統食だぞ」


 水島先輩がびしりと答えた。


「えええ? うちの社員って……ええええええ? 」


 常務の顔がさらに歪んだ。


「な、何が言いたいんだ? 」


 この期に及んでさらにオオサンショウウオは抵抗していた。


「いや、分かるでしょう」


「分かんねぇよっ! 」


「オオサンショウウオはね。天然記念物なんです」


 そう俺がにっこり笑った。


「ななななななななな! 何を言っているんだっ! 」


 オオサンショウウオが底知れぬ恐怖から絶叫した。


「そう、日本の歴史で美味すぎて減りすぎた食材と言われてるのが、オオサンショウウオなんだ。普通なら食べれない。だが、妖なら……妖のオオサンショウウオなら別だろう」


 水島先輩がほっこりするような微笑みを浮かべた。

 

「ちょちょちょちょちょっ! 」


 オオサンショウウオが動揺のあまり言葉にならなくなっていた。


「この会社は逸材ばかりじゃ無いですか! 」


 <おやっさん>の野崎君が嬉しそうに微笑んだ。


「えええええええ? 」


 すでに社内の人達が固まっていた。


 追儺の実働部隊の人達もだ。


「ふふふふふふ、中国産で養殖のオオサンショウウオはあるが雑食のプロとしてはやはり国産で無ければ駄目だからな」


「い、いや、わ、わしはオオサンショウウオに似ているだけだぞ? 」


「俺は騙されない。馬鹿め。アメリカ人ならナイスジョークで終わりだぞ? 」


 水島先輩は怯まない。


「流石、コオロギに噛まれても活きが良いと喜んでいる水島先輩だ」


 俺が感心した。


「アリだって蜘蛛だってトカゲだって食べれるんだ。お前が食べれないなどとは笑止」


 そう、水島先輩が胸から愛用のしめる時のナイフをスラリと抜いた。


 皆が茫然とそれを見ていた。

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