続き5
全員の血の気が引いた。
「やりましたよっ! きっと、こいつが敵のまつろわぬものの呪者でしょう! 」
そう<おやっさん>の野崎君が嬉しそうに話す。
いや、それはどうかな? と思うが。
「確かに、その危険はありますね」
「その通りです。何らかの形で操られてるかもしれないですし」
そう追儺の実働部隊の人達はそう答えた。
「いや、でも、それなら三鈴さんが先に動くんじゃ……」
って俺が呟いた。
そうしたら、追儺の実働部隊の人達がああって感じの雰囲気になった。
その瞬間であった。
「くっ、これがまつろわぬものかっ! 」
「おのれっ! 妖めっ! 社長に化けてくるとはっ! 」
そう叫んで高齢の先輩社員が次々とジャンピングエルボーを社長に叩き込んでいく。
「先輩っ! 俺達も行きますよっ! 」
「くそぅ! 社長に化けるなんてっ! 」
そして、それを見た若手社員も続いた。
三鈴さんも薫子さんも追儺の実働部隊の人達もブラック企業の闇を見たように固まっていた。
恐ろしい事に常務すらジャンピングエルボーを倒れている社長に食らわせていた。
「何か……すいませんね……」
そう<おやっさん>の野崎君が気絶している社長に頭を下げるくらいの現実だ。
「くそぅ、家に帰らせろよ! 」
「ふざけんな! ちゃんと休日くらいよこせっ! 」
「自分だけ、幸せそうな家族と暮らしやがって! 」
「給料を上げろやっ! 」
二巡目から社員の魂の叫びが続く。
いや、まつろわぬものじゃ無くて社長だって気が付いてるよねって話だ。
恐ろしや。
あまりのブラック企業の現実を見て、三鈴さんも薫子さんも追儺の実働部隊の人も動けなかった。
「もう、しょうがないですね」
社長を慕っているはずの熊のぬいぐるみの柚原さんが横で微笑んでいて怖かった。




