続き3
「ちょ! ちょっと! 待てやぁぁぁ! 」
目玉さんが慌てている。
また目玉さんが出てきたが、少し燃えていた。
目玉さんが出て来たせいか、社員たちの雰囲気が変になる。
だが、それはいつもと違って眩暈を起こして倒れる様な感じだ。
「ど、どうしたんで? 」
俺が慌てて聞いた。
「いや、これ、お前、明王系も真言に練り込んでるやんけっ! 薫子っ! すまんが事務所から少し離れてくれ! 魔王は明王と相性が悪いっ! 」
そう目玉さんが言ったので、薫子さんが慌てて事務所から出た。
「あれ? 」
俺がはたと市松人形で身体を動かす。
実にさっきの変な様子は無くなっていた。
「オンコロコロセンダリマトウギソワは薬師如来の御真言ですが、無能勝明王の御真言でもあるんです」
そう三鈴さんが笑った。
「無能勝? 」
「誰も勝つことは出来ない、つまり無敵と言う意味ですね」
追儺の実働部隊の人が説明してくれた。
「いや、しかし、それなら我々も呪詛の人形なんでヤバいんじゃないですか? 」
そう<おやっさん>の野崎君が慌てた。
「いや、旦那様の力で<老公>の呪詛はすでに書き換えされてました。正確に言うと貴方の<呼ぶもの>の呼ぶ声で来た神仏の力ですがね」
そう三鈴さんが笑った。
「それは、驚いた」
俺がそう呟いた。
「やはり、ここは危険ですね。守りが弱いです」
そう追儺の実働部隊の人が話す。
「土御門もそうですが、鎮守の神様の力を使って守られています。ここはそう言うのが無いので」
そう三鈴さんが言葉を続けた。
本来は神社とかそう言う場を祀って、そこの場を守る力を見せるのが神様たるものの得意な力なので、その鎮守内での防御には絶対的に強い力を見せるが、やはり違う場所だとうまくいかないと言う事なのだろうか。
どちらにしろ、一番困ったのは、話を聞いた常務の泣きそうな顔だった。
休めないかぁ。
困ったもんだ。




