続き7
「いやいや、三鈴さんに何かはしません。ただ、大好きなフィギュアが動いたりってだけで嬉しいのに、こう嬉しさが特盛なんですよ。この状況は……。分かってもらえませんかね」
ふっと石川さんがその仕事人のような憂いを帯びたような顔で笑った。
「いや、それは……」
常務が一番動揺していた。
動かざること山の如しの常務がである。
それほど、この石川さんの趣味は衝撃的だったわけだ。
「いや、いつまで、そいつを俺より警戒してんだよっ! 」
<角錐>さんが凄くプライドを傷つけられたような感じで騒ぐ。
だが、その<角錐>さんよりも追儺の実働部隊も石川さんを警戒していた。
「いや、まあ、貴方は同盟を結ぶかもしれない相手ですし。ちょっと、石川さんはそういう趣味って全くこちらに感じさせなかったわけですよ。流石にそう言うのはちょっと恐ろしいんでしょうね」
そう俺が説明した。
「いやいや、俺を舐めてる? 」
「そんなことはないでしょう。でも、未知の物に対する恐怖のがでかいと言う事では無いですか? 私的にはそうでも無いんですがね」
そう<おやっさん>の野崎君がカパッと笑った。
「変態のが恐ろしいと言われるのか」
<角錐>さんが泣きそうな顔を両手で覆った。
「待ってください。ちょっと勘違いが過ぎますよ。変態って紳士なんですよ」
そうクスリと石川さんが笑った。
本人的にいつもの職人さんのような雰囲気でだ。
そして、それは悪手になった。
ギャップが凄すぎるのだ。
僅かに残った女性社員の顔が顔面蒼白になっていた。
「石川……君……」
常務の顔がさらに辞める人が増えそうなんで、またぴよびーよ状態になって膝からがくんと崩れた。




