続き6
「ちょっと、何を言い出すんだ? 」
常務がひやひやした顔で必死に石川さんを止めた。
「いえ、そこは生き様。捨てれませんね」
そう、石川さんが目をキラリとさせる。
今まで石川さんは地味な人でオタク的な匂いは全くさせていなかったので皆が驚いた。
静かにノルマをこなし静かに働く仕事人みたいな人だったのだ。
「なんてこった。これほどの人材が隠れているなんて」
<おやっさん>の野崎君が驚きのあまり呻いた。
「ふふふふ、私はね。そのフィギュアの〇〇ちゃんが大好きなんですよ。そのフィギュアの水着のエッチな奴がまさか会社で動いてるなんて衝撃じゃありませんか? しかも、今は声優が美少女で無いといけない時代。中身は絶世の美少女である三鈴さんとか。これを否定されては私の人生が否定されたも同じ」
「いや、結婚してるんですが……」
石川さんの言葉に河村先輩が突っ込んだ。
「分からないかな! そこが素晴らしいんじゃないかっ! 人妻要素がつくわけだよっ! 分からないかなぁ? 」
石川さんがそう笑った。
それで何故か本来なら三鈴さんとか俺を守るはずの追儺の実働部隊が一斉に石川さんの方に対して警戒態勢で身構えた。
「ちょっとぉぉぉ! 一応、鬼族で知られた、この<角錐よりもそっちを警戒する訳っ? おかしくねぇ? 」
思いっきりプライドが傷ついたらしくて<角錐>さんが騒ぐ。
だが、三鈴さんもちょっとビビったらしくて、俺の影に隠れたが、それだと<角錐>さんに背中を向けてる形になったので、余計にカチンときたらしい。
「いや、三鈴もおかしいだろっ! 」
怖い鬼より、リアル変態の方が怖いと言う恐ろしい現実であった。




