続き2
「はあ、何か来てるんだ? 」
俺がそうぽつりと呟いた。
「ほほう、何か分かるんですか」
<おやっさん>の野崎君がそう呟いた。
「いや、何か気配は感じたけど、周りがざわざわしだしたからさぁ」
「いや、こんだけ緊迫した雰囲気になったら、それは分かりますよ」
ポタポタと血を流しながら熊のぬいぐるみの柚原さんが呟いた。
口から血を出してたら熊らしいが、彼の場合は目から血が垂れてるんで、ちょっとインパクトがありすぎる。
キリスト像とかに入ってるなら奇跡とか認定されそうだが。
「目の前に来た」
そうフィギュアの三鈴さんがじりりと皆の前に守るように出た。
追儺の実働部隊は三鈴さんの前に出ない。
これを持ってしても三鈴さんの戦闘力が分かると言うものだ。
それとともに、<おやっさん>の野崎君だけでなく、我がブラック企業の社員の皆も緊迫した雰囲気になった。
それで、俺が三鈴さんの前に出た。
追儺の実働部隊もそれを見て驚いていたが、三鈴さんが嬉しそうな顔をしたので、特に何もしないようだ。
三鈴さんが喜ぶのは良いけれど、追儺の実働部隊が俺に対して守ろうとしないとか、余程前の<老公>とかの戦いが大げさに伝わっているのだろう。
困ったもんである。
ただ、今回は外の気配に覚えがあったのだ。
「ひょっとして……」
俺が窓をカラカラと開けると先の電信柱の上に巨大な人が乗っていた。
身長は三メートルを超えて、青い肌をした虎の皮を腰に巻いた鬼であった。
一本角が凄く目立つ、<角錐>さんである。
「ああ、やっぱり。<角錐>さんか? 」
「おぉぉおおぉぉぉぉ! <呼ぶもの>かぁぁぁ! お前どういう事だよぉぉぉ! 」
<角錐>さんが憤慨してなさる。
「へ? 」
「同盟結ぶんじゃ無かったのかよぉぉぉぉ! 」
「いや、そのつもりですが……」
「なんで追儺の実働部隊がいるんだよぉぉぉ! 追儺って鬼の特別迎撃部隊だぞっ! 」
「あ! そう言えば……」
それに俺が気が付いて、はっとなった。
そうか、そりゃそうだよなと。




