表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
174/315

続き8

 鈴与ちゃんがあっさりと帰ってしまったので、仕方ないから収拾を付けにかかった。


「ちょっと、流石に狂騒状態になっている人達が緑の液体を吐きそうになってるんで、そろそろ引っ込んでもらえますか? 」

 

「え? これから面白そうなのに、我、引っ込むの? 」


「引っ込んでくださいっ! 」


 嫌そうな目玉に意外に薫子さんが今までにない厳しい言葉で叫んだ。


「ええええ? まあ、お嬢が言うなら仕方ないなぁ……」


 そう言って目玉がぼやきながら消えた。


 記憶は消してくれたものの社員たちの狂騒状態が酷かったもんで、着ているワイシャツが破れてたり、お茶を被ってたりしたので、不思議がっていた。


「あの、確かに私は加茂さんが素晴らしい人だと思ってます。私がただあの屋敷で静かに存在するだけの人生を外に開放してくださいました。たくさんの人を殺して居座る可能性もあったのですが、それも終わりました。ですから貴方達の幸せな家庭を乱す気はありません。私についている魔王の言う事は気にしなくて良いです」


 そう静かに三鈴(みすず)さんに薫子さんが話した。


 三鈴(みすず)さんもそれを聞いてじっと薫子さんを見ていた。


「……分かりました。貴方の言葉を信じます」


 そう三鈴(みすず)さんが答えた。


 俺がほっとした。


 そして、常務も皆もそれを見て安堵したようだ。


 流石に毎日これでは大変だし。


「でも、実は旦那様の事だけでは無いんです。貴方には分かってもらえると思いますが、私はずっと巫女として学生生活をしながらいろいろな難事をこなしていました。もう死んでしまったので終わった事だと思っていました。でも、私も働いてみたかった。社会に出て見たかったんです」


 そう三鈴(みすず)さんがそう呟いた。


 それを聞いて俺がはっとした。

 

 そうだったのか。


 薫子さんが働いて大喜びなのを見て、羨ましかったのか。


 そう俺がちょっと気が付かなくて申し訳なく思った。


 もっと、良く三鈴(みすず)さんの気持ちを考えるべきだったのではないか。


 そう後悔した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ