続き6
「いやいや、そこまでしないでも……」
常務が凄く動揺した顔で呻く。
「ちょっと待って! お姉ちゃん! 日本だけでなく世界でも激変が起こってて、その状態でうちの切り札のお姉ちゃんがどうしてここで働くのっ? 」
鈴与ちゃんが叫ぶ。
「私が働きたいから! 」
三鈴さんがきっぱりと話す。
「いやいや、今がどういう時だか分かってるの? 」
「その時の最重要人物の旦那様もここで働いてるし」
「いやいや、お姉ちゃんは……その……亡くなってるんだよ? 」
「ここは死んでる人も働いてるし」
そう三鈴さんが<おやっさん>の野崎君と薫子さんを見た。
「ふはははははははははははははは! 流石、土御門家にここにありと言われた三鈴だ! そうでなくてはなっ! 良し良し、これで面白くなってきたぞ! うちのお嬢と一騎打ちだな! 」
興奮しすぎたのか、目玉が飛び出て来てそう叫んだ。
勿論、鈴与ちゃんと土御門家の人は別だけど、他の人はまた狂騒状態になって半狂乱になった。
「何で、出てくるのよっ! 」
薫子さんが叫ぶ。
「いやいや、まさしく乙女として天晴れな姿では無いか! お嬢もここで宣戦布告と行くか? 」
目玉が大喜びで身体をゆすらせた。
「貴方は報告にあった魔王? 」
鈴与ちゃんがそう身構えた。
「ふはははははは、その通りよ! 」
「やはり、土御門家に対して思う所があったようですね」
「いいや? 我、こういう痴話喧嘩とか大好きで! 」
「は? 」
「我、こういうの見るとワクワクするのよ! さらに我が守ってるお嬢が関わってると思うと! こう、何か分かるかな? 臨場感と言うか? お主も無いか? 友達のこういう痴話喧嘩とか見るとワクワクしてしまってって奴だ! こういうの見ててワクワクしないか? 」
「……確かに」
目玉の言葉に鈴与ちゃんが納得してしまう。
何でやねん。
そう言えば、友人が大好きなラーメン屋が店長の愛人と奥さんがたまに手伝いに来て罵り合いと殴り合いをやるらしくて、友人が劇場型ラーメン屋と感動してたが。




