続き14
「これでいいか? 奴らは騒がなくなったぞ? 」
そう目玉が答えた。
「貴方は我々と戦おうとは思わないのですね? 」
「ああ、この国のまつろわぬものとかいう者達の事か? 我には関係ないな。それはこの国にの問題だ。我は西洋から来た悪魔であるし。だから、土御門家とかと戦う気はない。ただし、このお嬢の生まれ変わりと、その変わらぬ屋敷での生活を邪魔するというのであれば別だがな」
そう目玉が笑ったように見えた。
それと同時に何か黒いものが辺り一面から湧き出してきた。
「ひっ! 」
大家のおばあさんと老齢の運転手と常務の周りを囲むようにそれらは取り囲んだ。
「土御門家とやら戦ってみるか? 貴様が倒したとか言う<老公>とやらよりも我は厄介だと思うぞ」
そう目玉が身体を揺すって話す。
「やめて! もうやめて! 父の願いで起きた事だから私にも責任はあります……でも無用にここに関わってくるものを殺さないで! 父のわがままで沢山の人が死ぬのはもう嫌なの! 」
「でも、これが我とお前の父の真行寺男爵との契約だ。この契約には逆らえない」
そう目玉が答えた。
「私は普通に人間として生きて終わりたかったのに、普通に外に出て働いて暮らしたかったのに……」
そう西洋人形が目に手をやった。
それは泣いているように見えた。
「少しお聞きしても良いですか? 」
俺がそう間に入った。
「なんだ? 」
「つまり、悪魔さんは、この屋敷でのお嬢さんの生活が認められたら、それで問題はないのですね」
「ああ、そうだ。お嬢がこの屋敷での生活をつつがなく暮らせるのが契約だ」
「では、その生活ができれば、お嬢さんが屋敷を出て働いても問題ないということですか? 」
「それは特に問題が無いが、我らは人形だぞ? 」
目玉が驚いて答えた。
「だからですよ」
そう俺がにっこり笑った。




