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続き12

お騒がせしました。急いでくださいって言ったらキーボードがすぐに来ました。


騒ぎ過ぎました。


すいませんでした。

「なあんだ。いるじゃないですか」


 俺が西洋人形をを見て苦笑した。


「本当ですね。ちゃんと住んでますよね」


 そう<おやっさん>の野崎君も笑っていた。


「いやいや、人形ですよ? 」


 そう老齢の運転手さんが震えながら答えた。


「いや、僕らも人形ですし」


 そう俺がほほ笑んだ。


 その西洋人形はゆっくりとこちらに歩いてきた。


「歩いてきてるよ! 」


「「当たり前じゃないですか」」


 大家のおばあさんが突っ込んできたが、俺と<おやっさん>の野崎君は普通に答えた。


 そもそも、すでに俺達が人形として生きているのに、騒ぐほうがおかしい。

 

 さっきまでおどおどしていた常務も落ち着いている。


 すでに会社で人形が歩き回っているんだから、そりゃそうだろ。


「貴方達は誰ですか? 」


 西洋人形さんがそう話しかけてきた。


「あ、こちらはこういうものです」


 そう俺が懐から名刺を渡す。


 こういうところは営業と同じだ。


「……加茂義則さん? 」


 そう西洋人形は名刺を見て、小首を傾げたようにつぶやいた。


 流石は常務も普段の心を取り戻したのか、俺と同じように営業スマイルで立っている。


 <おやっさん>の野崎君ですらそうだ。


 だが、大家のおばあさんと老齢の運転手さんは慣れないようで、少し引いた顔で見ていた。


「ほう、噂の土御門家の婿殿とやらか」


 そう西洋人形の背中からまがまがしい何かが染み出すように現れた。


 俺の目には巨大な目に見えた。


 後で聞くと常務には大量の髪の毛に、そして、大家のおばあさん達にはたくさんの手に見えたらしい。


 悪魔にしろ霊的存在にしろ、第三の目のように眉間から脳を通して脳の背後で映像のように見るので、普通とは違う見え方をする時がある。


 つまり、脳という自分の知識やそういうものを通して見るので見え方は実は違うのだ。


 もちろん、同じに見える時もあるが……。


「貴方は? 」


「お前達が言う言葉だと悪魔になる」


 そうその染み出たものは答えた。


「「「ぎひぃぃぃぃぃ! 」」」


 大家のおばあさん達がそれを見た時から半狂乱になっていたが、その言葉を聞いてさらに絶叫していた。

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