6部 終わり
動揺して困惑したままの鬼の<三日月>さんを無視して俺と<おやっさん>の野崎君はキャッキャッとしていた。
「こうして、闇の世界は新しい時代の一歩を踏み出したのでしたって感じかな? 」
「素晴らしいですよ、加茂さん」
「そ、そう言えば貴様等、どうやってここを見つけた? 」
俺と<おやっさん>の野崎君の話を聞いて、<三日月>さんが当たる事の出来ない憤怒を滾らせて呻いた。
「ああ、握手をした時に、右の革の腕輪に最新式の小さなGPSを付けました」
「GPSぅぅぅ? 」
<三日月>さんが首を傾げながら革で出来た腕輪を探る。
「最新鋭の軍事用の奴なんで、ほら、針みたいでしょ」
俺が<三日月>さんの革の腕輪の中に刺さっていた針型のGPSを抜いた。
「こ、これが……」
「ええ、土御門家の巫女様の一番偉い巫女神様が俺がいなくなっても、どこに行ったか分かるようにと下さってたんです」
「まあ、つけられてただけですけどね」
そう横で<おやっさん>の野崎君が補足した。
そう、いつの間に市松人形の服の背中についてたんで、驚いたのだが使わせてもらったのだ。
「うううむ。どちらにしろ、我らが封印から目覚めて未知のものが多い。ここは検討中で濁すべきでわ? 」
「し、仕方あるまい。検討中と言う事で帰ってくれ」
<角錐>の言葉で呻きながら<三日月>さんが吐き捨てるように話した。
「前向きなんですよね」
そう俺がじっと市松人形で見た。
「ああ、そう言ってくれ」
<三日月>さんがそう呻いた。
「ありがとうございます」
俺がそう頭を下げた。
俺が立ち上がるとその広間を出ていった。
「ついノリノリでやってしまった事がこんなことになるなんて、世界はやっぱり素晴らしい」
俺がつい囁くように本音を話してしまった。
ふと振り返ると、<三日月>さん達が凄い顔して俺を見ていた。




