続き13
「くっ、あの小僧のせいで、次々と他所のまつろわぬものから確認がっ! 」
古い巨大な中世の寝殿造りの大きな屋敷の広間で鬼の<三日月>さんがブチ切れていた。
「厄介な事になりましたな」
そう、横にいる鬼の中で長老格の鬼が呻いた。
「あの小僧などに会いに行かねば良かった」
「しかし、陰陽師とは我等鬼とライバルである以上、どこかで作法として挨拶は必要なのでは? 」
「<大拙>殿、もはや、そう言う時代ではないのでは? 」
そう<角錐>が突っ込んだ。
「じゃが、我らはその辺のまつろわぬものでは無い。鬼とは神とも呼ばれた時代もあるまつろわぬものぞ。それが古い作法とはいえ……」
「ああいう、自由過ぎる輩にはいささか意味が無かったのでは? 」
「そういう時代なのかの……」
<大拙>がそう残念そうに呟いた。
「まあまあ、時代の変革には仕方のない事ですよ」
そう、俺が横で話す。
「どこから入ったぁぁぁ! 」
鬼の<三日月>さんが憤怒の表情で立ち上がった。
「入口から二人で並んで入りましたが」
そう俺の横の<おやっさん>の野崎君が黒子の人形の首を傾げた。
「あっ! 妖の人形のせいかっ! 」
<角錐>が呻く。
「そうかっ! 妖魔の気配をさせる我等の敵の陰陽師など今まではおらなんだからな! 今は他所のまつろわぬものから引っ切り無しで確認が入っておるし……」
<大拙>がハタと気が付いたらしくてそう叫んだ。
「とりあえず、土御門家としては同盟はお受けしたいとの事で」
そう俺が鬼の<三日月>さんの前にとたたたと移動して正座すると、皆に話した。
「「え? 受けるの? 」」
震える様な顔で鬼の<三日月>さんと<角錐>さんが同時に呟いた。
<大拙>さんも目を見張っていた。




