続き11
「待てっ! 違うんだっ! 」
鬼の<三日月>さんが逃げ去っていく、人面のフクロウと人面犬に向かって叫んだ。
「角推っ! 」
鬼の<三日月>さんが叫んだら、上空から破壊された壁の所に一本角の鬼が現れた。
図体はでかくて、ドーンと降りてきたのに空気のように衝撃が無い。
「もう、大量の連中に情報が伝播されております。今更、追ったとしても逆に聞かれたくない話を漏れさせない為にしたと思われるだけですぞ」
「くっ! 」
「我等、まつろわぬものの闇の物としての鬼の重鎮たる<三日月>様と今話題の三鈴の婿の<呼ぶもの>の対面とすれば、大物の妖の手の物が探っていたはず。ここは逆に焦らぬ方が宜しいかと」
「ううっ! 確かに! 」
「しかし、やられましたな。最初からまつろわぬものの分断を考えていたとは」
そう<角推>が俺を見た。
「まあ、そう言うことにしておきましょう」
俺がそう微笑んだ。
「極秘の話が拡がれば良くありませんからね」
<おやっさん>の野崎君も横で微笑んだ。
まあ、俺も<おやっさん>の野崎君も口がパカッと開いただけだが。
「どこまで本気なのだ? まつろわぬものの分断を狙うとはな! 」
<角錐>がそう俺に叫ぶ。
「ふふふふふふふふふふ、そう言うことにしておきましょう」
俺がさらに意味ありげに答えた。
「糞っ! 来るのでは無かった! 余計な事になってしまった! このような小僧に翻弄されるとはっ! 」
鬼の<三日月>さんがブチ切れて、俺の目の前に拳を叩き込んだら、アパートの高木先輩の部屋の底が
抜けて、下に崩れ落ちた。
下で、隣の部屋に居たらしい女性が寝巻で崩れた残骸を見て、こちらを見上げていた。
「何か、エロマンガパターンですね」
「本当だ」
<おやっさん>の野崎君がそう囁いたので、俺が同意した。
「何なんだよ! こいつら! 」
鬼の<三日月>さんが絶叫した。




