続き7
「話が脱線しすぎだろうに」
鬼の<三日月>さんがそう突っ込んできた。
「いやいや、今の日本社会が階層化して大変なのですよ。まつろわぬものと言えば殆どまつろわぬものと言う感じだとご説明したわけです」
そう<おやっさん>の野崎君が微笑んだ。
「いや、下層階級とか言っても弾圧されてそれに反抗しているわけでは無いからそれをまつろわぬものとか言っちゃうのはどうかと思いますがね。言わば、単なる貧民な訳ですし」
ヤタガラスさんが苦言を呈した。
「まあ、昔の貧民も租庸調の時代は片道だけ沿道の農家から稲の束が供出されて食事ができるけど、帰りはそれが無くて、租庸調の税を払った後に餓死する事がわりと一般的だったと言うからなぁ」
「この国がそもそも福祉とかそう言う考え方になるのは江戸末期ですし」
俺の話にヤタガラスさんがシビアな話を告げる。
「そうなのだ。しかも、江戸時代の方向転換は良く言われる生類憐みの令から民度が上がるが、実は島原の乱で農民を殺しすぎちゃって、再建に無茶苦茶手間がかかった為に、農民保護に動いたと言う側面がある。それ以前は根切りと言う虐殺が普通だった」
俺がキリリと呟いた。
「いや、何の話をしてるんだ? 」
鬼の<三日月>さんがドン引き。
「日本のまつろわぬものと福祉の関係ですかね」
「いや、馬鹿じゃねぇの? 」
そう鬼の<三日月>さんがため息をついた。
「これはしたり」
「これはしたりじゃねぇよ! 」
<おやっさん>の野崎君が突っこんだら、鬼の<三日月>さんが怒鳴った。
おやおや、短気だなぁ。




