続き6
「ちょうど、加茂さんはそのブラック社畜たる下級国民から、一気に上級国民になったわけですよ。実は私の先輩に似たような人がいます。下請けの会社に居て公的な仕事をしていて公的機関からの評価が非常に高い人だったんです。勿論、一級の資格もいくつも持ってます。それなのに、会社の評価は常にD評価。理由は昔関係のあった大手会社の父親のコネで入社して、その会社と今いる下請け会社の関係が切れたからと、上司が何故か凄く先輩を嫌っていたからです」
「酷い話だな……」
<おやっさん>の野崎君が俺にそう話す。
「それで、ある日、その先輩は家族に相談したところ、どうもおかしいから一度転職活動してみたらと勧められて、いきなり元受けの超大きな会社の中途採用の試験を受けた訳です。そしたらあっさりと合格してしまいました。それで元居た下請けの会社を辞める日には、その嫌な上司さんだけでなくお偉いさんから必死な笑顔で今後ともよろしくお願いいたしますと深く深く頭を下げられるわけです。立場が逆転しちゃったわけですな」
「ほほう。そんな事が……」
「ええ。その先輩はそれで気持ちがすっきりですよ。元受けの超大きな会社で順調に出世して、あっという間にそこそこの役職も貰いまして、前の会社は土下座ものですよ」
「むう、恐ろしい展開だな」
俺と<おやっさん>の野崎君がそう盛り上がる。
「いや、お前の場合、仕事が出来てるんじゃなくて、上級のコネだろ? 」
泣いてた高木先輩が横から口を出してきた。
「そうですけど、加茂さんがいなくなると、売り上げが激減しますよ。敵会社に行かれたら余計に厳しくなりますが……」
そう<おやっさん>の野崎君がそう話す。
「何の話を延々としているんだ? 」
鬼の<三日月>さんがそう困惑してヤタガラスさんに話しかけた。
ヤタガラスさんも困った顔で無言だった。
今日は休みなんで、もう一つ追加します。




