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6部 <<三日月>編> 始まり

「まずい。<三日月>だ」


 ヤタガラスさんが凄く慌てていた。


 だが、俺はどこにでもある呪われた人形だ。


 動くわけにいかない。


 その瞬間、壁の上の方に妖の貫手が叩き込まれる。


「ひぃぃぃぃぃっ! 」


 高木先輩のモノノケダンスがさらに凄くなった。


 胸がキュンとする。


 バキバキバキッ!


 その貫手のまま壁ごと引っぺがした。


 ちょうど板パネルになっていた部分を狙ってはがしたのだろうけど、綺麗に窓も何もかも剥されて部屋はむき出しになった。


 月明かりの下に身長四メートル近い巨人がいる。


 そして、月明かりに角が光っていた。


 鬼だ。


 鬼が来た。


 全身は赤く、虎のパンツと言うか獣の革のパンツを着ていた。


 いわゆる、修験者と鬼の関係は昔から言われている。


 修験者も引敷ひっしき)と言われる穴熊や鹿の毛皮に緒を付けたものをお尻につけてどこでも座れるようにするのと、防寒の意味合いがある。


 それが鬼のパンツに変化したのかもしれない。


 しかし、鬼と言えば日本の妖の頂点に近い。


 つい、会えたことが嬉しくて踊ってしまいそうになったが、死んだ真似をするのが大切なんで、そのまま動かなかった。

 

「ここに、噂の<呼ぶもの>がいると聞いたんだがな。お前か? 」


 高木先輩を見てそう聞いた。


 違います違いますと言う感じで一秒間に二十回くらいの凄まじいスピードで顔を左右に振る。

 

「それは一秒間に20回は行きそうなスピードだ。キツツキを知ってるだろうが。キツツキは一秒に二十回の速さでクチバシを木に叩き込む。それは頭部に重力の千倍の力がかかるほどなのだ。その為に目が飛び出さないように瞼が三枚あってカバーされており、首はむち打ちを起こさないように筋肉でカバーされている。さらに脳震盪を起こさないようにスカスカの頭蓋骨がちょうどフットボールのヘルメットのようになっているのだ」


 そう俺がつい解説をしてしまった。


 そしたら、鬼さんがじっと俺を見ていた。


「以上、呪われた人形からでした」


 俺がそう言って死んだ真似を続けた。


「いや、お前……」


「いや、お気になさらずに続きをどうぞ」


 鬼さんがに何か言いたそうだったので、そう言って俺は死んだふりを続けた。


 


 

 

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