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続き8

「誤解を解きに来たんですが」


 そう俺が窓をトントンして話す。


 だが、返事がない。


 まるで息を潜めているようだ。


「おかしいな。加茂ですよ。加茂です。何度かここに飲みに来ましたよね。後輩の加茂なんですが? 」


 俺が窓をトントンしながら話した。


「おかしいですね。まだ午後8時くらいなのに、出てきませんね」


「玄関からあいさつした方が良いのかもしれない。身体が何しろ人形のままだし、高木先輩も近所で妙な噂が流れるよりは、ここからの方が良いかと思ったのだけど、それが間違っていたのかもしれない」


 <おやっさん>の野崎君の言葉に俺が答えた。


「まあ、窓からと言うのは失礼かもしれませんね」


 と言う事で仕方なしに、アパートの二階の高木先輩の部屋の玄関側に回る。


 そして、<おやっさん>の野崎君の肩に飛び乗って呼び鈴を鳴らした。


 だが、音がしない。


 息を潜めている感じだ。


 おかしいな?


「うわぁっ! 」


 近所の住人だろうか。


 俺達が高木先輩の玄関の前で立っていたのを見て中年のおじさんが悲鳴をあげた。


「いやいや、怪しいものではありませんから。ここの高木さんを訪ねに来たものです」


 そう俺がにっこり、口をカパリと開けて微笑みながら答えた。


「ひぃぃぃぃっ! 」


 その住人さんは腰が抜けたような姿勢のまま這いつくばって逃げだした。


「いやいや、怪しいものでは無いですよ」


「その通りです」


 俺と<おやっさん>の野崎君がそう言いながら追っかけた。


 そしたら、這いつくばったままおじさんは凄いスピードでアパートの階段を降りて逃げていく。


 こういうのを見ていると童心に戻ったと言うか、子供の時に好きな女の子をからかって逃げるのを追っかけているような感じを思い出した。


 なので、俺と<おやっさん>の野崎君でどこまで逃げるのかおじさんを追っかけて見た。

 

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