続き4
「じゃあ、社長が心配でしょうがないんであれば、柚原さんもついて行きますか? 」
他の人には見えないけど、柚原さんが心配そうに社長を見ているので、そう話した。
そうしたら、柚原さんがポタポタと血を流しながら頷いて社長の担架の傍についた。
「あれ? 誰かいるんですか? 」
後輩の救急隊員が床に落ちている血を見て、そう聞いてきた。
「ああ、昔、ある人に虐められて、ここで自殺した人が社長が心配なんでついて行きたいと言ってるので」
「ああ、なるほど自殺した霊か。地縛霊とかになって無いの? 」
そう永田さんが笑いながら聞いてきた。
「いや、俺と意気投合したら、いる場所から離れるようになれたとか言ってまして……」
「なるほど。流石、土御門家の秘密兵器と言われるだけはあるな」
「何です? その話? 」
「いや、三鈴さんが勝てたのも婿のおかげてって土御門家界隈は大騒ぎだから」
永田さんが笑った。
「参ったなぁ。変な話ばかり拡がるんだな」
「いやいや、実際、凄い戦果だし。<老公>も倒したんだろ。あれ日本政府自体が懸念してた怪物だから」
そう永田さんが笑った。
そう言う話をしていたせいか、高木先輩とかの顔が急激に真っ青になっていく。
困ったもんである。
皆の目つきが単なる怖い市松人形から得体のしれない怪物って感じの見方に変わった。
本当に困ったもんである。
「あああ、加茂さん」
トテトテトテと足音がしてドアが開いて黒子の人形が入り込んできた。
<おやっさん>の野崎君だ。
もっと困った人が来た。




