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続き2

「やれやれ、救急車が来るとは」


 俺がそう市松人形の自分の頭を掻いた。


 社長が倒れて泡を吹いたので、社員が救急車呼んだようだ。


 救急車のサイレン音が遠くから聞こえた。


「いやいや、お前が悪いだろ? 」


 高木先輩がそう俺に話す。


「なぜ? 私は現在、この会社の創業以来の業績をあげてますよ」


 そう俺が市松人形の小首を傾けて聞いた。


「いやいや、だから、お前が怖いんだよっ! 」


 むっとしたらしくて高木先輩が俺に吐き捨てるように答えた。


 この人は首になった井沢先輩の友人でどうも俺に強く当たる癖があるなぁ。


「どうも、誤解があるようですね。今度一緒に飲みに行きましょうか? 」


 俺がカパッと口を開けて笑った。


 高木先輩がのけぞる。


「もう、お前、辞めてくれよ……」


 弱弱しく高木先輩が呟いた。


「えええ? でも、それをやると土御門家が激怒しますよ? 」


 俺が市松人形の小首を傾げて答えた。


「ひっ! 」


 高木先輩が一瞬泣きそうな顔をした。


 土御門家は優しい家ではなく、実は敵対した場合は呪殺とかする所もあって、仲良くしている限りは守ってくれて凄く心強いのだが、敵に回すと怖いと言うのは街の人間なら皆が勝手に思っている事らしい。


 呪いで警察は動かないし、しかも政財界に隠然たる力を持つ。


 命だけでなく経済的にも社会的にも終わってしまうと言う困った誤解である。


 だが、今回の前首相の件もあって、本気にしている人達がいるのだ。


 反土御門派に近かった前首相が病気で失脚してしまったからだろう。


 その噂の効果は抜群で、気絶したはずの社長の足がその言葉で反射的に足をあげて痙攣するくらいだ。


「……悪かったよ。お前の事を井沢と馬鹿にしてた事は謝るよ……」


 困った事に高木先輩が土下座を始めた。


「いや、別に考えたこともありませんが……」


 困ったもんで、そう答えた。


 どうも、誤解があるようなので、今夜か明日の夜にでも高木先輩のアパートに訪ねてみようかと思った。


 アパートは井沢先輩と遊びに行ったことがあるのだ。


 部屋の暗証番号も知っている。


 誤解は解かないとね。


 




 


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