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5部 <市松人形サラリーマン激闘編>始まり

 あれから、無事結婚式は終わって普通ならいちゃいちゃ出来るはずが、社会が不安定で何が起きるか分からないと言う事で、新婚旅行は後日と言う事になった。


 結婚式と言っても冥婚なので、当然戸籍も何もない。


 だけど、俺の心は幸せだった。


 俺の身体は無事確保できたが、異様な呪術を使っていたせいで元の身体に戻るのは時間がかかりそうだった。


「加茂君……」


「はい」


 社長がそう俺を呼んだ。


 書類を持ってトタトタと走って行く。


 他の社員が怯えて震えていた。


「何も、その恰好で仕事しなくても良いし。休んでくれても良いんだよ? 」


 そう社長が困惑した顔で俺に話す。


 そう、俺は市松人形のまま出社していたのだ。


「いえ、しかし。業績は上げてますし」


 そう流石は土御門家。


 首相が土御門家と関係が深い人になったために、一気に体制も挽回して、昔よりも権勢を誇るようになった。


 そのおかげて、土御門からの懇意の企業からの注文などで俺の業績は会社でトップを突っ走っていた。


「いや、業績はそうなんだが……」


「社長はかって私に言ったでは無いですか。社会人は自分で会社をどれだけ稼がせるかだと。数字さえ出せれば他は何の問題も無いのだと」


 俺が市松人形のままそう断言した。


「いや、そうなんだけどね……」


 社長の顔が泣きそうだ。


 ちょうど、俺が再出社した時に、奥さんと娘さんが会社に来てて二人とも悲鳴を上げて逃げだした。


 家で何か言われているのだろう。


 だが、それは仕事には関係ないはず。


 そう、いつも飲み会とかで説教してたし。


「心配しないでください。社長の言う数字はこれからもガンガン上がりますから」


 俺がそう微笑んだ。


 俺の市松人形の口がパカッと開いたせいで、他の社員がひっと悲鳴を上げた。


 社長が何か言いたそうな顔をしていたが、自分の信念だといつも言ってたせいで俺に何も言えないようだ。


 社員の悲鳴や叫びを聞いて、社長が静かに窓辺に行くと遠くを見ていた。

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