続き16
「ぐはぁっ! 矢に呪いだとっ! 」
<老公>の矢の刺さったところが黒くなって拡がっている。
「弓にかかった呪いをそのままこちらに転写したのかっ! ええい、わしを助けよっ! 」
<老公>が絶叫した。
それと同時に三鈴さんと戦っていたヤマタノオロチの超巨大な操り人形がこちらに向かってくる。
「三鈴さんっ! 助けに来たよっ! 」
俺が絶叫した。
意識が空間を飛んで三鈴さんに飛んで繋がり合った。
「加茂さんっ! 」
「もう、義則さんで良いよ」
俺が意識下の魂で三鈴さんに微笑んだ。
三鈴さんが照れて真っ赤になった。
可愛い。
「ええっと……」
「義則ですっ」
三鈴さんがもじもじしていた。
「呼んでください。もう夫婦になるんですから」
俺がそう話したら、三鈴さんがもっと真っ赤になって俯いた。
「よ……よし……」
そう三鈴さんが呟いて照れて止まった。
「可愛すぎる」
俺がたまらなくなって呟いた。
三鈴さんは真っ赤になって俯いたけど、意を決したように俺を見た。
俺がそれを見て微笑んだ。
「義則さんっ」
「三鈴さんっ」
俺と三鈴さんの魂と魂が見つめ合った。
やっと二人になったのだ。
俺達は抱きしめ合った。
三鈴さんは真っ赤になっていた。
だが、それがたまらなく可愛かった。
「ほら、逃げてる! 逃げてるっ! 」
祖母が下から霊として空間に干渉して来て気が付いた。
いつの間にか<おやっさん>の野崎君や中西君や大神さんだけでなく街の人まで、さっさと山の方へヤマタノオロチに乗って逃げる<老公>を指差していた。
俺と三鈴さんが気が付いて頭と頬を掻いた。
気が付かなかった。




