続き5
「いや、壊れちゃったよぉぉぉ! 」
中西君が褒められた時はアドレナリンが出て気にしてなかったが、軽自動車を急旋回して戻らせた時に気持ちが戻ったらしくて悲しそうに叫んだ。
「形あるものはいつかは壊れるんです」
「お前に言われると殺意が湧くわぁぁぁ! 」
<おやっさん>の野崎君に言われて中西君が歯ぎしりした。
「あーあーあー、家も駄目だし、大切なレア物や限定品も駄目になるし、軽自動車も壊れたよ」
「まあ、ちゃんと弁償しますし」
「当たり前だろっ! 」
中西君が涙を流していた。
「ある日、突然、信じられない事に巻き込まれて何もなくなる。それは辛く厳しい事ですからね」
<おやっさん>の野崎君が静かに首を振った。
「いや、マジでお前に殺意がとまらんわぁぁぁ! 」
「いや、すでに死んでますし」
<おやっさん>の野崎君が無意識に煽るせいかドンドン運転がワイルドになって来た。
そうして、さっき後方で走り屋の馬鹿がぶつけて出来た多重衝突の道が塞がれた場所に来た。
が、それを皆で移動して道を開けようとしているところに強引に入り込んで通り抜けた。
「馬鹿野郎! 」
「前見てんのかぁぁ! 」
一斉におっさん達が叫ぶが、カタカタと追いかけてきた操り人形たちに次々とボコボコにされていた。
「なんてこった。俺達を逃がす為に操り人形と戦ってくれるとは」
「本当ですね」
俺と<おやっさん>の野崎君が敬礼した。
「いやいや、本当に性格悪いなっ! 」
中西君が運転しながら叫んだ。
「いや、それにしても何で警察が来ないんだろうね」
そう俺がふと思って呟いた。
その瞬間、皆がぞっとした。
何かが起きて、それが本格的になった気配がした。
そう言えば、三鈴さんが現れないのも変な話だし。




