続き4
「駄目だ! 先回りされているっ! 」
ヤタガラスさんが突然叫んだ。
「え? どこに? 」
「見えないけど? 」
俺と<おやっさん>の野崎君が前を見るが分からない。
「その先だ。待ち伏せされている」
ヤタガラスさんがずっと前を見ているようだ。
「どうすんだ? 」
「車を捨てて逃げるか? 」
「いや、これ以上俺の物を捨てるのは勘弁してっ! 」
中西君が俺の話に逆上した。
「でも、車じゃないと追いつかれますよ? 」
「一か八か、その辺の木造の家をぶち抜いて逃げるとか? 」
「いやいや、軽自動車だから、こっちが死ぬしっ! 」
「前と後と敵はどちらが多いんですか? 」
「前だね」
ヤタガラスさんがそう答えた。
「じゃあ、反転して戻ろう」
「いやいや、追って来てるだろっ! 」
「まあまあ、落ち着き給え。ここは一旦、あの家の駐車場でやり過ごそう」
「おお、やっとまともな忠告が来たな」
<おやっさん>の野崎君がそう話したのでやっと中西君が笑った。
そして、中西君が凄いスピードで勝手に他人の車庫にバックで入った。
「何と言う運転能力」
「いや、自分の軽自動車を壊したくない一心の凄まじいテクですよ」
俺の感嘆に<おやっさん>の野崎君が解説してくれた。
「あの……」
ヤタガラスさんがそうきまり悪そうに話す。
「何ですか? 」
「いえ、貴方達の妖気を追って来てるのに、隠れても意味無いですよ? 」
「はぁぁぁああああぁぁぁああ? 」
ヤタガラスさんの一言に中西君が絶叫した。
そしたら、カタカタと操り人形はこちらの車庫に向かって来た。
「あああああああ! 」
半狂乱になって中西君が軽自動車のアクセルを踏んで、目の前の操り人形を撥ねた。
次々と跳ね飛ばして逃走する。
一体はボンネットで撥ねてフロントガラスに大きなひびを入れた。
それを中西君が手で破壊して見えるようにした。
「おお、格好いい」
「アクション俳優みたいだ」
俺と<おやっさん>の野崎君が褒めた。
「そう? 」
中西君が嬉しそうに笑った。
チョロい。




