続き3
「いや、何でもっとスピード出さないの? 」
「いや、道に地震のせいかいろいろと落ちてんだよ。軽自動車だから下手に当たると致命傷になるだろう? 」
<おやっさん>の野崎君の突っ込みに中西君が反論した。
「どうも、しょうがないですね」
そう、俺が呟きながら、軽自動車に積んでいる中西君の趣味のものを窓から這いつくばって追いかけてくる操り人形に投げつける。
「ちょっとぉぉぉぉお! 勝手に投げないでよぉぉぉぉ! 」
中西君が泣きそうな顔で叫んだ。
「武器になりそうなものは無いのかな? 」
「そんなもの積んであるかぁぁ! 」
「じゃあ、もっと飛ばせ! 」
半狂乱になる中西君に<おやっさん>の野崎君が叫んだ。
「お前、生きてる時も図々しかったのに、死んだらもっと図々しくなりやがって! 」
「人生一度きりとか嘘だぞ! 死んでも世界はあるんだから! 」
「まるで俺が死ぬ前提の励ましなんかいらんっ! 」
「大丈夫。ちょっとアクセルを踏んで飛ぶだけだよ! 」
「飛ぶ気は無いわっ! 死ねってかぁぁぁ! 」
「一緒に人形になろうぜ! 」
<おやっさん>の野崎君が親指をぴっと立てたので、俺も一緒に立てといた。
「お前らも悪霊だぁぁぁ! 」
中西君が半狂乱になりながらスピードを上げた。
そうしないと操り人形が軽自動車に乗り込んできそうになったからだ。
「お前ら恨むぞっ! 」
中西君がそう叫ぶと一気にアクセルをふかしてさらにスピードを出した。
「おおっ、中西君の目が走り屋の目になった! 」
「走り屋はこんなボロの軽自動車に乗りませんっ! 」
俺がそう中西君を褒めたら言い返された。




