プロローグ
俺、相田 心は死んだ。
天界へと登る暫しの間、今までの人生を振り返っていた。
死因は持病だ。どうやら不治の病だったそうで、急な死だった。
薬によって症状が抑えられていて、治ったと勘違いしていたらしい。
だが、痛みもないし、楽な死に方だったのかもしれない。
やり残したことといえば、好きな小説の完結を見れなかったことだろうか、
その小説は『ダンジョン/ライフ』という。タイトルはシンプルだが、現代日本に突如現れたゲートによって世界がゲームのようになっていく中、変化していく情勢やSNSのトレンドなどがリアルでどんどん世界観に呑まれていったものだ。
もしも願いが叶うなら、あの世界に生まれ変わりたいものだ。
そんな事を考えているうちに俺の体は消え、意識も深淵へと消えていった⋯ ⋯ ⋯
***
「おめでとぉございまぁす。」
高い男性の声が聞こえた。
俺はすぐに違和感を感じた。
感覚がないのだ。
恐らく、テンプレ通りに行くと、魂だけになって今から転生だの、なんだのに巻き込まれるのだろう。
「なにが、めでたいのですか?死人の私におめでとうは不謹慎では?」
少し嫌味を言った。正直思ってもいないが、『ダンジョン/ライフ』を読めないイライラをぶつけさせてもらおう。
「思ってもいないことを言うのはやめませんか?」
心を読まれた?
どうして?こいつは何者だ?
相手のことを見ようとしても見えない。
見えるのは真っ白な単色の背景のみ。
「僕を見ようとしても無駄ですよ?精神型自立補助神なので、体はありません。」
体はない、精神体、精霊のようなものか?
「ともかく本題に戻りましょう。」
そうだ、どうして俺は祝福されたんだ?
「貴方には肉体を差し上げます。」
転生か?どこに、地球か?
「ただの肉体ではありません。生物の括りに入れることすらおこがましいほど、素晴らしい肉体です。」
「素晴らしい肉体とは?」
「上位存在です。」
「つまり?」
「神様の体です。」
質問すると帰ってきたのは、俺が神様になる権利を得たということを告げる言葉だった。




