瑕疵物件(5)
Mは学校が終わり次第、すぐに大家の家に向かいました。不安と怒りが混ざり合った気持ちでインターホンを押し、すぐに大家が出てきました。
[大家]
「M君どうしたの急に、そんな焦ったような顔して。」
[M]
「突然すみません、大家さんにお聞きしたい事があって伺いました。」
[大家]
「聞きたいこと?いいけど…、まぁここじゃあれだからウチあがって。」優しそうな表情で招き入れる。
[大家]
「さ、どうぞどうぞ座って座って。ところで聞きたいことってなんだい?恋愛相談?それとも人生相談?
答えられる限りはなんでも答えるよ。ハハハハ。」
[M]
「なんでも答えると言いましたね、ではお聞きします。僕の部屋って5年前に殺人がありました?」
そのセリフを言った途端に大家の今までの優しい表情から一瞬、全てを察し悉くを消すかの様な表情になり、そしてすぐ元の優しい表情に戻りました。
少し間をおいて、また話し出す。
[大家]
「確かに5年前にそこに住んでいた住人は不幸にも殺人で殺されてしまってね…。でも警察が言ってたけどあの部屋には殺された形跡はなくて、バラバラにしたのはまた別のところではないかって教えてもらったよ。」
[M]
「それでも自分がここに住み始めて少ししてから心霊現象にあっているんですけど、心霊現象については何かご存知ですか?」
[大家]
「心霊現象?別の部屋の人からは特に言われてないし、遺品整理をしてる時はなにもなかったよ。
心霊現象があるなら私がお祓いを頼むよ、あんな事が近くであったのにそのまま住まわせちゃった訳だし、
前の住人は家の外で亡くなった扱いになってるから瑕疵物件の告知義務が発生しないのだけど、説明しておくべきだったね…。本当に申し訳ない。」
[M]
「わかりました、一旦お聞きしたいのはそれだけでしたので、お祓いの手配はよろしくお願いします。」
[大家]
「うん、悪かったね、とりあえず早めに手配しておくから日程が決まったらすぐに連絡するね。」
[M]
「はい、お願いします。失礼します。」
そうして大家との話し合いが終わり、自身のアパートに戻ると2階に住んでいる爺さんと一階の角部屋に住んでいる中年夫婦?の妻が何かを話していました。
[夫婦 妻]
「そろそろあの時期ですよ、カワタさん。今回は誰が供物になるんですかね?やっぱり最近越してきたあの若い子かね?」
[爺さん(カワタ)]
「まぁ、あの若い子になりそうやな、アンタんとこの旦那さんでも構わないとは思うけど異変を勘づかれるとワシらも終わってしまうからな。さっき大家さんから電話入ってきたのだけどあの若い子の部屋で変なことが起こっとる言うとるし、もしかすると勘づいてる可能性があるから少し早いけど処置してしまおうってさ。」
[夫婦 妻]
「それっていつ予定してます?その日は旦那を外に出しておかないと。」
[爺さん(カワタ)]
「一応、1週間後になるとは言っていたよ。どうやら今、他の所でもワシらの事をつけてとるモンがいるらしくてな、大家さんもその処理に追われて準備に時間がかかるとよ。また日程が決まったら連絡するわ。」
[夫婦 妻]
「わかりました。お願いしますね。」
そうして2人はそれぞれの部屋へと戻っていった。
扉が閉まった瞬間、Mはアパートとは逆方向に向かって走って逃げた。




