第72話:分断のはじまり
毎日2回更新
Lunaの配信コメント欄は、日に日に荒れていった。
「もう活動やめたら?」
「お前のせいで界隈が壊れたんだぞ」
「ファンのこと考えてるなら、一生黙ってろ」
そんな誹謗中傷が、Lunaの配信中に絶えず書き込まれていた。ファン同士の対立はさらに激化し、推し方や意見の違いから起こる争いはSNSだけにとどまらず、リアルの場にも波及し始めていた。
——そして、ある日ついに事件が起きた。
あるLuna推し同士の口論が、路上での暴力沙汰へと発展したのだ。被害者は重傷を負い、加害者はその場で逮捕。ニュースでは「Vtuberファンの暴走」として大々的に取り上げられ、ネット上でも炎上が加速した。
「やっぱりVtuberオタクは危険だ」
「こんな文化、なくなればいいのに」
「ファン同士で殴り合いって、もう終わってるだろ」
メディアはVtuber文化自体を問題視するようになり、一部のコメンテーターは「Vtuberがファンを扇動している」とまで言い始めた。世間の風当たりは一気に強くなり、界隈全体が揺らぎ始める。
光也は、ただ黙っていることはできなかった。
「このままじゃ、Vtuber文化が崩壊する……」
彼はSNSで発信を試みた。
——事件を起こしたのは一部の過激な人たちだ。Luna推しの多くは、ただ彼女を応援しているだけなのに——
しかし、その言葉は、逆に炎上の火種となった。
「結局、加害者を擁護するのか?」
「今さら弁明しても遅い」
「お前もLunaの信者だから、まともな判断ができないんだろ」
光也の意図とは裏腹に、彼の言葉は曲解され、さらに攻撃の的となっていく。
もはや何を言っても燃える状況。
光也はスマホの画面を睨みながら、静かに息を吐いた。
「もう……どうすればいいんだ……」
Xにも同時投稿中。X版はイメージ画像付き。
最新話はこちらをフォロー
https://x.com/bank26nt




