第68話:隠れた傍観者
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夕真は少し離れた場所に立ち、視線を未来たちへと向けた。喧騒の中でも、彼女らの楽しげな声がかすかに耳に届く。人混みに紛れるようにしながら、彼は慎重に会話に耳を傾けた。
「ねえ、それ本当にすごいと思うんだ!」
愛瑠の声が弾む。彼女は何かについて熱心に語っていた。表情は生き生きとしており、未来もそれに楽しそうに相槌を打っている。
「わかる! 私も最初見たとき、めちゃくちゃ感動したんだよね!」
未来の声には、共感と興奮がにじんでいた。二人は互いに言葉を交わしながら、どんどん話が盛り上がっていく。その様子は自然で、親しさが伝わってくるものだった。
夕真はじっと未来を見つめた。彼女は今、この場所で完全に馴染んでいるように見えた。
「それって、どんな感じだったの?」
夕真の視線が、今度はもう一人の人物へと向けられる。
男——彼もまた、自然に会話に加わっていた。
「俺も最初はびっくりしたよ。でも、気づいたらすごく惹かれてたんだ。」
光也の言葉には、飾り気のない率直さがあった。それに対して、愛瑠が大きく頷く。
「だよね! その感覚、すごくわかる!」
三人の間に流れる空気は、とても穏やかだった。まるで、長い間親しくしてきた友人同士のように。
——自分は、あの輪の中に入れるのだろうか。
夕真の胸の奥に、わずかな不安が広がる。未来は今、あの二人と同じ時間を共有している。そこに、自分の居場所はあるのだろうか。
夕真はふと視線を落とし、そっと息を吐いた。
それでも、彼はまだ動けずにいた。
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