第40話 - 崩れゆく現実
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夕真は部屋の薄暗い光の中で、ぼんやりと画面を見つめていた。パソコンにはLunaの配信アーカイブが映し出されている。彼女の明るい笑顔、ファンへの優しい言葉――それはいつも彼の心を救ってくれたはずのものだった。
しかし、その映像を見つめる彼の目には、かつてのような喜びはなかった。代わりに、胸の奥底で何かが静かに崩れていく感覚が広がっていた。
「俺は…何をしているんだ…」
ふと、自分の手元に目を落とす。そこにはこれまで書き連ねてきたメモや、送ることのなかったLunaへの手紙が散らばっている。内容はどれも、彼女を「守る」ための強迫的な言葉ばかりだった。
彼は頭を抱え、記憶をたどる。Lunaに出会ったあの日、孤独だった自分に光を与えてくれた配信。そして、徐々にその光を「自分だけのもの」にしたいと思うようになった執着の始まり。その結果、他のファンを傷つけ、Luna運営からも警告を受けた。彼の周りにあった全てのつながりは、気づけば壊れてしまっていた。
「これじゃ…俺はLunaを守るどころか…」
彼の声は震え、次第に弱々しくなっていく。それでも、彼の心の中には別の声が響いていた。
「でも、Lunaだけが俺を救ってくれたんだ。彼女を手放したら、俺には何が残る…?」
夕真は頭を振り、現実と妄想の間で揺れる思考を振り払おうとする。しかし、彼が選ぶのはいつも同じだった。画面の中のLunaを見つめ、その笑顔にしがみつくように、彼女を「守る」という妄執にすがりつく。
「もう…後戻りなんてできない」
彼の指は再びキーボードに触れる。しかし、今度は何も書けなかった。夕真の中には、愛と憎しみ、現実と妄想が入り混じった葛藤だけが渦巻いていた。
その夜、彼はついに配信アーカイブを閉じた。だが、スマートフォンに映るLunaのアイコンに指を伸ばし、また再生ボタンを押してしまう。
「Luna…俺を見捨てないでくれ…」
その言葉は虚空に溶け、夕真の目から涙が一粒だけこぼれ落ちた。現実が崩れていく音を、彼は静かに聞いていた。
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