Episode7 乱入
「新郎新婦の入場です!」
という声が聞こえ、扉が開かれた。
参列者がこちらを見る中、私と西園寺さんは式場に入った。
はじめの挨拶が終わり、新郎新婦の紹介、祝辞、指輪交換と式はつつがなく進み、いよいよ
「誓いのキスです」
あぁ、ついにこの時がきてしまった。
(結婚するなら、護とが良かったな…)
そんな事を考えていた時だった。
何だか式場がざわついていて、外から「いたぞ!」「つまみ出せ!」という声がする。
(式場で騒ぐなんて……)
と思ったその瞬間、バンッ!と乱暴に扉が開けられた。
そこには
「ゆ、幸奈!! 遅れてごめんな……!」
──息をきらした護がいた。
「ま、護!?」
夢でも見ているのだろうか。そう思った私は自分の頬をつねる。痛い。夢じゃない。
私は弾かれたように席を立ち、護に駆け寄った。
「幸奈! 席に戻れ!!」
「そうですよ、幸奈さん!」
お父さんと西園寺さんががなるが、私は
「嫌!!」
と一蹴した。
その時、護はつかつかと西園寺さんの元へ歩いて行った。
「てめぇが西園寺リヒトか?」
「『てめぇ』だなんて、そのような下品な言葉を使ってはいけませんよ」
「んなこた聞いてねぇんだよ。質問に答えろ。てめぇが西園寺リヒトか?」
「いかにも。私は西園寺財閥総帥、西園寺リヒトです」
「……総帥サマよぉ、俺、あんたの秘密を知っちまったんだよなぁ」
護は不敵に笑う。
「ほう。私のどんな秘密を知っているというのですか? どうせ、大した事ではないでしょうけれど」
西園寺さんは鼻で笑った。
「これ、なーんだ」
護が何枚かの写真を出した途端、西園寺さんの顔が真っ青になった。
それは、西園寺さんが毎回『違う少女』とホテルから出てきた写真だった。
「き、君! その写真をいったいどこで……」
「どこで?」
「そう! どこで手に入れたんだ!」
「自供してくれてありがとよ」
護がニヤリと笑うと、西園寺さんは『しまった!』という表情になった。
「ネットだよ。近所の人が『幸奈が西園寺財閥の総帥と結婚する』って話をしてたから、『西園寺財閥 総帥』で検索したら、出るわ出るわ。あんたが俺らとそう年の変わらない女子高生とホテルから出てくる写真がな。Twitterも鍵つきにして安心してたんだろーが、無駄だ。リストに追加すりゃ鍵つきアカを見れる裏ワザがあんだよ。てめぇの人生終わったな!」
「皆様、違います! これはいたずらです!!」
西園寺さんは弁解を始めたが、
「無駄だって言ったよな? もういろんなところに写真とTwitterのアカとてめーん家の電話番号ばら撒いてあんだよ!このロリコンが!!」
最後に啖呵を切ると、護は私の元に戻って来た。
「幸奈、行くぞ!」
「うん!」
護は私の手を引いて走りだした。後ろから「待て、幸奈!」と言うお父さんの声がしたが、私は振り返らずに走った。
「次どっちだ!?」
「そこの角を右!」
「次は!?」
「まっすぐ行って、2つ目の角を左に曲がったらあとはまっすぐ!」
「分かった!」
少し走って、式場の入り口に着いたが、
「どうしよう、鍵がかかってる!」
「俺に任せろ!」
護が体当たりすると、扉は開いた。
「早く乗れ!」
式場の前に停めてあったタクシーに飛び乗り、私たちは式場を後にした。




