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二発 制裁

 中瀬カツエは上唇がけいれんしたかのような挙動で、げっそりした。


「本物?……あなた、そこで座ってるオトコ、何なの。何者なのよ。素性あかしてよ」

「ボクに何かご不満でも?」

「あの子……嗣治とはどんな関係なのか教えなさい! 警察官の野中さん、どうかこの方を何とかしてもらえますか?」

「奥様、それはわたくしにはでき兼ねます」

「警察なんでしょ。助けてくださいよ」

「この方は、クライアントの奥様との担当者です。わたくしにはそれを止める手段がありません。すみません」


 キョトンとし、目を丸くするカツエ。

 野中は管轄の署に戻りだした。


「では、わたくしはここで失礼します。尾関さん、お勤めお疲れ様です。奥様をお頼みいたしますね」

「お巡りさん、お疲れ様です」


 改まって尾関は婦人に挨拶しだした。


「ボクは、尾関誠耶です。リクエストユーザー様のご子息さんとは本日知り合ったばかりですよ」

「もう……何も答えたくありません……どうかお引き取りください」

「ご子息さん、あなたの元に戻る気力を失われています。いかかしますか?」

「お母さんの知らない人に会わせておいてバッカじゃないの? 無知すぎて何も答えたくなくなったわ。あー、バカバカしいったらありゃしない!」

「見ず知らぬの者とはどうあっても話さない……と?」

「あの子の考えてること、あたしが分からないんだから、この家庭のことに首突っ込んでもうっ! 何なのよ。早く出てってよ! 早く!」


 血相になり爆発したカツエだった。

 静かに声をかけてみた誠耶。


「奥様、お気を確かに」

「もういやぁぁぁぁぁ!」


 極度のヒステリックにおちいって、カツエはソファにゴロンと横たわって自我が破砕したような感覚でいた。


「ちょうど救急のバンが来たようですね」


 中瀬家に救急救命士がぞろぞろ訪問しだし、丁重に婦人の身柄を病院まで搬送させたという。

 後から息子の嗣治が搬送先まで出向いたという。もちろん、自宅の鍵はちゃんと戸締まりしてからだ。


「あっ……尾関さん、母はどうしたのですか? 一体?」

「何か話が先に行こうとするたびに、気持ちが高揚(こうよう)して興奮なされました。極度のヒステリックになり倒れられました」

「重度の症状ですか?」

「精神を安定させてるだけかと思われます」

「自分がいたらぬ限りで」

「大丈夫。気をしっかり持ってください」

「治ります?」

「ご本人次第ですよ」

「病院までの手配ありがとうございました」

「いえいえ」


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