フィフスグラウンド・オンライン22
その間にもレーダーから目を離さない様に機体の小型モニターを見やる。
僕が搭乗してる未刃立と言う機体は、レーダーが強化され、他の機体では表示されない索敵範囲を表示できる利点があった。
これを最大限に活用する為に、アイテムをも駆使して、更に性能を強化し、通常、雲に隠れてレーダーから見えなくなるであろう機体の位置を特定し、情報を先行する【KIRIE】達に送信していた。
時差はあるにしても、ほぼリアルタイムで各々の機体の小型モニターに表示されており、【NAMI】を見失わない様にしている。
と、突然【SAE】が通信を全開にして口を開いた。
「お姉ちゃん!
こんな事、もうやめにしようよ!」
恐らく、【SAE】は取り囲まれ、レーザーを放たれる姉を見たくないと、そう思っているのだろう。
それは恐らく誰もが思う事であった。
自分の知っている、しかも実の姉が、少なくとも姉と一寸たりとも変わらない容姿をしているであろうアバターに対して、姉の精神と記憶をその身に宿したアバターが傷付くのを見るのはつらい事なのだろう。
「お願い、もうやめて!」
だから、【SAE】は言う。
「お願い!!」
だから、【SAE】は叫ぶ。
もしかしたら、自身の想いが、伝わるのでは無いかと。
会話によってこの問題が解決出来るのでは無いかと。
姉の精神と記憶を宿しているのならば、それはきっと届くのだと、そう信じて。
「追いついた!
再び、追撃に入る!」
上空では再び【KIRIE】達の追撃が再開された。
それはレーダーのモニターからも同じ状況が表示されている。
悠那未2機と、僕ら3機も【KIRIE】達と【NAMI】の追撃戦が行われているであろう同じ高度に達する。
決して射程から離さない様に【KIRIE】達は【NAMI】を追っている。
流石は高ランクプレイヤーだけあって、空中戦の高い技量を披露していく様に、レーザーを放ちつつ、追い込んでいく。
再度、【RINA】達は【NAMI】の側面から奇襲を仕掛けるべく、今度は左から迂回するように機体を加速させた。
「お姉ちゃん!」
【SAE】が叫んだ。
と、まさにその時だった。
【NAMI】の水平であった機首が一瞬の内に翻り、機体が一気に垂直に立ち、そのまま宙に貼りつく様に動いた。
いや、静止していた訳では無かった。
止まっているのでは無く後方から向かっていた【KIRIE】達に向かって突進していくようにも見えた。
あり得ない機動と姿勢だったろう。
はたから見れば、【KIRIE】達4機に対して、十字に交わる様に機体を翻したのだから。
これでは、まるで撃って下さいと言わんばかりであった。
だが、しかし。
それは十分な距離があればこそであって、今の様に、超至近距離でそうされた場合は背後から追っていた者にとってはそれが有利だとは言えない状況になった。
「何だ!?」
と、【SATO】が叫ぶ。
彼らがすぐにレーザー掃射ボタンを押し込める事が出来れば、最大限の狙撃チャンスとなったであろうが、この時は迂闊にも突然、至近距離となった【NAMI】を避ける事を選んでしまったのだ。




