まん丸オムライスとイースター祭り
その日晴れ晴れした朝8時の朝倉村の空に、村中に響き渡る3発の花火が打ち上がり。
ほどなくして村中に響き渡る特殊な魔法を使った。朝倉学園の学園長のリーフの声が聞こえてきて
『朝倉村の皆さん、朝倉村におこしの皆さん、おはようございます。朝倉学園、学園長のリーフです。
今日は、待ちに待った『イースター祭』の日です。
イースター祭りの説明をしますと、朝倉村に隠された『イースターエッグ』を家族や仲間、個人で探しだすと言うシンプルな遊びの『エッグハント』になります。
集めた『イースターエッグ』は、甘いチョコレートで出来ており。イースターエッグ一つ一つに高度の魔法がかかっておりますので、お腹を壊す心配もなく。安心して食べて下さい。
さらに『イースターエッグ』の中には色や柄で違う。ちょっとした、様々な粗品が入っておりますので、それも楽しみに頑張って下さいね。
そして大事なイースター祭の開始時間と終了時間になりますが、朝9時から夕方5時までの8時間になっております。
くれぐれもお間違えないようにお願い致します。」
リーフのイースター祭を説明する放送が続き。
「他にも朝倉村の皆さんには、この前配りました兎やヒヨコをモチーフにしたコスチュームに着替え。付属の玉子の形をモチーフにした籠等を持ち。
村中に隠された沢山の『イースターエッグ』を探し出して下さい。
そして朝倉村におこしの皆さんも本部テントや『風呂屋・松乃』などで、イースター祭限定の兎やヒヨコのキャラクターが刺繍、描かれた。白色、桜色、黄色、若草色、黒色の5種類のΤシャツやシャツを無料でお配りしておりますので、是非ご利用下さいませ。」
イースター祭に向けて愛満と愛之助が仕入れてきた。イースター用にアレンジされた兎やヒヨコをモチーフにした村人限定のコスチュームの事や
本部テントや風呂屋・松乃などで村を訪れた人達に無料で配布される。白、桜、黄、若草、黒等の5種類の色から選べる。Tシャツやシャツの事等を伝え。
「最後になりますが、イースター祭やその他の事等で解らない事や『イースターエッグ』が隠された場所のヒント等をお求めの場合の方は、朝倉神社の境内に有る。
祭り本部事務所や街中に立っている白色の法被を羽織った案内係の者へと、お気軽にお声をかけて下さい。
それでは皆さん、長々と私の話を聞いて頂きありがとうございます。それでは『イースター祭』をお楽しみ下さいませ。」
家の中に居てもハッキリ聞こえたリーフの放送が終わり。
すでにイースター限定の兎をモチーフにしたコスチュームに着替えている愛之助を初め。
『イースター祭』の準備や対応で忙しいアルフとアコラの頼みから、昨日の夜から愛満宅に泊まっているタリサ、マヤラの3人組は
「愛満~!いよいよ『イースター祭』が始まるでござるね!
拙者、昨日の夜からドキドキワクワクしてしまい。なかなか眠れなかったでござるよ~♪」
「タリサもタリサも!!ドキドキワクワクしてね、昨日の夜なかなか眠れなかったんだよ!あ~~~~ぁ、すんごい楽しみ♪」
「マヤラもマヤラも!ちゅご~~く、たのちみぃ~~♪」
今年第1回目の開催になる『イースター祭』が始まる事に溢れでるワクワクを我慢できない様子で、愛満の周りをバタバタ走り回り。興奮した様子で感情を爆発させ。
「愛満~♪僕ね、僕ね!イースター祭の『エッグハント』でね。沢山の『イースターエッグ』見つけてくるからね!」
「拙者も兄者の為に沢山の、……いや!抱えきれないほどの『イースターエッグ』を持って帰って来るでござるよ!」
「マヤラもマヤラも!たくちゃんのイーチュターエグみちゅけてかえちゅってくるにぇ♪|たのちみにちててにぇ~《楽しみにしててね~》♪」
嬉しさを表しながら口々に『エッグハント』で『イースターエッグ』を1つでも多く見つけんだと、お互いに闘志を燃やし。
ワイワイガヤガヤ騒いでいると
「「「「「愛之助~~、タリサ~~、マヤラ~~、迎えに来たよ~~♪」」」」
可愛い呼び声が聞こえる中。兎やヒヨコがモチーフのコスチュームに身をつつんだ。愛之助達の友達になる。
ケンタウロス族のタク、妖精族でピクシー族のルルナ、黒エルフ族の和調、ケットシー族のモカ
右里家の四ッ子に車椅子に乗った花夜、左和達兄妹の可愛らしい姿をした10人が愛之助達3人を万次郎茶屋まで迎えに来てくれ。
「じゃ、行ってくるね。沢山イースターエッグ見つけてくるから、お土産楽しみに待っててね。」
「では愛満、拙者も行ってくるでござるよ!
お昼には愛満特製の美味しいお昼ご飯食べに帰って来るでござるから、お昼ご飯をお願いするでござるね。
…………………しかし、愛満本当に1人で大丈夫でござるか?
街主催のお祭りでござるから、沢山のお客さん達が茶屋へと訪れそうで、拙者とても心配でござるよ。」
愛之助はイースター祭の『ハントエッグ』に参加したい気持ちが有るものの。
第1回目になる『イースター祭』で、いつもより朝倉村を訪れる観光客の家族連れが多く。それにプラスして朝倉村を訪れる冒険者達も増えていて。
祭が開催されている事も相まって。今日、茶屋を訪れる人が増え過ぎないかと愛満の事を心配した愛之助は、愛満に本当に1人で店番するのは大丈夫なのかと心配した様子で問い掛ける。
するとそんな愛之助の言葉にマヤラやタリサ達も心配そうな表情をして、愛満のズボンをギュッと握り締め。
「よしみちゅ、じゃいじょうぶ?
マヤラ、イーチュターしゃい|しゃんかしなくちぇもじゃいじょうぶじゃから《参加しなくても大丈夫だから》、ちゃやにのこちぇおてちゅだいちょうか?」
「愛満、本当に大丈夫?
マヤラの言うとおり、僕達イースター祭に参加しなくても本当に大丈夫だよ。
だからね。あんまり役に立たないかも知れないけど、僕もマヤラも愛之助も茶屋に残って、今日はお手伝い頑張る事にするよ!」
愛満の事を気遣って、イースター祭には参加せずに茶屋のお手伝いを頑張ると口々に話。
そんな愛之助達3人の言葉に愛満は、本当に嬉しそうに笑って微笑みかけ。
「愛之助もタリサ、マヤラもありがとうね。そして、そんなに僕の事や茶屋の事を心配してくれてありがとう。
けど、そんなに心配しなくても大丈夫だよ。
今日の為にね。魔法を使って作り置きの軽食や和菓子を沢山作って魔法袋へとなおして有るし。
お客さんが沢山来店しても上手く魔法を使ってドンドン接客していくから、愛之助達はイースター祭を楽しんでおいでよ、ねっ!」
優しく3人の頭を順番に撫でてあげながら
「それに今日のお昼ご飯はね。今日がイースター祭と言う事もあるから、少し目先を変えた面白いモノを準備して有るんだよ。
だから愛之助やタリサ、マヤラ達みんなには、そんなお昼ご飯を楽しみに食べに帰って来てほしいし。
僕も皆のお土産話を楽しみに待ってるから、ほら!タク達もみんな待ってるし。元気出して楽しんでおいで!」
話して、まだ少し渋る愛之助達を元気良く『イースター祭』へと送り出すのであった。
◇◇◇◇◇
そうしてその後、お昼になるまでの3時間の間。
持ち帰りや土産用、茶屋内で食べる和菓子組のお客さんやお茶の葉を買い求めに来るお客さん、軽食のセットを食べに来る冒険者等のお客さんが度々訪れ。ボチボチ忙しかった愛満であったが、お昼前にはお客さんの波も引き。
茶屋内にお客さんが1人も居なく無った事もあって。
愛満は、のんびりと愛之助達用のお昼ご飯の準備をしながら、今頃『ハントエッグ』を楽しんでいるであろう愛之助達の事を考え。そんな愛之助達が帰って来るのを楽しみに待っていた。
するとそれから朝倉学園の12時を知らせる鐘が町中に鳴り響き。ほどなくして、万次郎茶屋の扉のベルが鳴り。
「愛満、ただいまでござるよ~~!」
「愛満ただいま~♪」
「よしみちゅ、ちゃじゃいま~♪」
「「「「「「ただいま~~♪」」」」」
との声と共に、籠一杯から溢れそうになるほど詰め込まれた『イースターエッグ』と共に愛之助達13人が帰って来る。
「みんなお帰り。それにしても、………ウヮ~~!沢山の『イースターエッグ』見つけられたみたいだね。スゴいスゴい!」
籠一杯に詰め込まれた『イースターエッグ』を見た愛満がスゴいねと誉め。イースター祭が楽しかったかとタリサ達に聞くと
「うん♪スゴ~~く楽しかった!それに沢山の人がイースター祭に参加しててね。みんな楽しそうにイースターエッグ探してて、スゴかったんだよ♪」
「マヤラもたのちかちゃ♪しょれにね、いちゅぱい|イーチュターエグみちゅけたの《イースターエッグ見つけたの》♪」
「モカも魚の絵が描かれたイースターエッグ見つけたニャ!
それにイースターエッグのニャかに魚がモチーフのピンが入ってたニャ♪」
「僕も僕も!いっぱいイースターエッグ見つけたんだよ。
木の木陰とか、花壇の中とか、お店のテラス席とか、いろんな場所に隠されてあったんだ。」
「拙者も沢山のイースターエッグ見つけたでござるよ!
それにイースターエッグを見つけても見つけても、次々に移動した場所でイースターエッグが見つかるでござるから、本当に楽しかったでござる♪
しかし誰が隠してくれておるのか解らぬでござるが、隠し方も巧妙でござって
こうぉ~、見つかるか見つからぬかの丁度良い案配で隠されておったでござるから、また次のイースターエッグを見つけ出すのが楽しいのでござるよ!」
口々に楽しかったイースター祭の話を教えてくれ。
思い思いに『エッグハント』を楽しんでいる様子の愛之助達の尽きぬ話を聞きながら、愛満はテーブル席に用意した『タコ焼き器』の電源を入れる。
すると『タコ焼き器』の存在に目敏く気付いたタリサ達が
「ウヮ~~!!タコ焼き器だ。今日のお昼ご飯はタコ焼きなの?」
「えっ!タコ焼きが食べれるでござるか?」
「タコ焼き?」
「たこしゃん?」
今日のお昼ご飯は『タコ焼き』なのかと嬉しそうに騒ぐ始める中。愛満は不適にほふく笑み。
今だ『タコ焼き、タコ焼き』と騒ぐ愛之助達に
「フッフフフ~~♪それが違うんだなぁ~!
今日のお昼ご飯はね。このタコ焼き器を使って作る一口サイズのコロコロした。
そう!コロコロ丸々したミニオムライスとミニハンバーグになるんだよ。」
今日のお昼ご飯を『タコ焼き』を使って作る。ミニオムライスとミニハンバーグだと発表すると
「えぇー!!タコ焼き器でオムライスやハンバーグが作れるの!?」
「本当かニャン!?」
「愛満、本当でござるか!?」
「ほ、本当にこの機会でオムライスやハンバーグが作れるの?」
ルルナやモカ、和調、タク達もタコ焼きでオムライスやハンバーグは作れないよと驚く中。愛満は人指し指を左右に降りながら微笑み。
「チッチチチ!ううん、それが出来ちゃうんだよ。
まず、オムライスはね。薄らバターを塗った『タコ焼き器』に溶き卵を半分ぐらい流し入れ。
そこに炒めたりして火を通した鶏もも肉やウィンナー、厚切りベーコン、むき海老、コーン、ミックスベジタブル等の好きな具材を包んだ。タコ焼き器の穴に入る一口サイズのチキンライスボールを加え。卵をまとわせ、オムライス風に焼き上げるんだよ。」
タコ焼きを使った『ミニオムライス』を作りながら話。ミニオムライスの玉子が焼ける間に隣のタコ焼きを使って
「ハンバーグの方はね。サラダ油を薄ら塗った『タコ焼き器』にウズラの卵、溶けるチーズ、ミニトマト、ブロッコリー等を包んだハンバーグタネを入れ。香ばしく焼いて食べるんだよ。
あっ、他にも『春キャベツのポタージュ』や『ポテトサラダ』なんかもいろいろ作ってあるから、お昼からのエッグハントのパワーを充電するため遠慮しないで沢山食べてね。」
手をテキパキと動かしながら3台のタコ焼き器を扱い。愛満はチビッ子軍団の面倒をこまめにみてあげながら、料理等を取り分けてあげ。
出来立て熱々の一口サイズのミニオムライスやミニハンバーグをワイワイ騒ぎながら子供達は食べ始める。
「本当だ!小さいけどオムライスになってる!
それに中に入ってる厚切りベーコンがジューシーで塩気もあって、さっき食べたモモ肉のオムライスと味が変わって美味しい♪」
「私はハンバーグを食べたけど一口サイズで食べやすくて、中の溶けるチーズが濃厚で美味しいかったわ♪」
「僕も僕も!オムライス食べたけど、中にプリプリの海老が入っていて美味しいかったよ。次はこっちのハンバーグ食べるんだ!」
「うめぇ~~!!オムライスもハンバーグもみ~んな出来立て熱々だからスゲェ~旨いなぁ~!!
それにチーズがとろ~り溶けてたし、ミニトマトは熱々ジューシーで、口の中が火傷しそうなほど熱かったけど後引く旨さだったぜ!」
「本当に美味しいわね!けど一口サイズで食べやすい大きさだからダイエット中の私は、ついつい食べ過ぎちゃわないように気を付けなくちゃ!」
「僕も美味しい!愛満、こんな美味しいお昼ご飯ありがとう!
春キャベツのポタージュなんて初めて飲んだけど、濃厚で甘味があってスゴく美味しいねぇ♪」
子供達が口々に話す。「美味しい、美味しい」との嬉しい感想に、愛満の頬がついつい緩む中。
飲み込む力の弱い花夜のため作った『玉子粥』や、蒸し焼きにして餡を掛けた『豆腐ハンバーグの餡掛け』を一生懸命食べる花夜のお手伝いをしながら
「どう?花夜、熱くない?」
「………うん……あ、つ……く…な、い…よ……。そ…れ、に…お…か、ゆ…も……とう…ふ、のハ…ン、バー、グ…も……………ぉ、お…い、……しぃ……よ」
「それは良かった。花夜が喜んでくれて嬉しいな~♪花夜、ありがとうね。」
「…ぅう、ん……ぼ…く…も、あ…り…が、と…」
「いえいえ。あっ、そうだ。今日のお昼ご飯にはデザートも準備して有るからね。花夜もデザート用にお腹のスペース空けといてね。」
少しずつ良くなってきている花夜とのお喋りを愛満は楽しみながら、今だ止まらない子供達の『美味しい、美味しい』との嬉しい声を聞きつつ。
お腹いっぱいになった愛之助達は、午後からも開催される『イースター祭』を思う存分楽しんだ。
◇◇◇◇◇
こうして朝倉村初の『イースター祭り』は、参加者達、皆心の底から楽しみ。また怪我人やアクシデント等も何も無く、無事終わり。
来年の『イースター祭』を楽しみに心待ちするのであった。




