卵ボーロと花夜の車椅子
右里一家が朝倉村に移住して3~4日。村にも少しなれた様子のそんなある日 万次郎茶屋の台所では
「コロコロ~♪コロコロ~♪終わり!」
「オロオロ~♪オロオロ~♪おわりゅ!」
「終わったでござるか?タリサもマヤラもボーロ丸めるの上手でござるね。愛満、卵ボーロ丸めるの終わったでござるよ。」
愛満の手伝いで、卵ボーロを丸め終わった愛之助達が声をかける。するとタッパーやお重などに様々なおかずを詰め込んでいた愛満が手を止め、3人にお礼を言い。
「3人ともありがとう。
卵ボーロ丸め終わったら、本当はカチッとするまで冷凍庫で冷やさなきゃ焼いている間に生地がダレきて丸くならないんどけど、今日は魔法を使って短縮して………あとは薄く焼き色がつくまで5分くらい焼いくと完成だよ。」
自身の力を使い卵ボーロを冷やすとオーブンシートを敷いた天坂に片栗粉をまぶした卵ボーロを並べて焼き始める。
そうして、あっという間に卵ボーロが焼き上がり。
あまりの短い焼き時間に愛之助達は驚きながらも、卵ボーロの味見がしたい愛満におねだりし。
焼きたての卵ボーロを貰うと早速食べ始め。その独特な食感や味の卵ボーロに
「うわー!口に入れたとたん、あっという間にホロホロにくずれて無くなちゃった!それに卵ボーロって、ほんのり甘くて美味しいんだねぇ♪
あっ!でも、あんな短い焼き時間で焼き上がるなんて、本当に不思議な焼き菓子だねぇ。」
「おいちい~♪ちゅぐになくなりゅ!」
「本当に美味しいでござるね。小さくて食べやすいでござるから、 ついつい手がのびてしまって食べてしまうでござるよ♪
それにほんのり甘い匂いがして、何だか懐かしいさや優しい気持ちになるでござる。」
卵ボーロを味見した愛之助達3人が卵ボーロの感想を口々に話し、愛満に伝えてくれる。
「美味しい?本当に良かった。
卵ボーロはね。簡単に作れてシンプルな分だけ生地に水分が多かったり、少なかったりするだけで焼き上がりに差がでちゃうデリケートな焼き菓子なんだ。
僕も何度か作ってコツをつかんで、やっとムラなく焼けるようにやったけど、焼き上がりや食べるまでは毎回ちゃんと出来てるか心配でドキドキなんだよ。」
「愛満がでござるか!?」
「よしみちゅが?」
「えっ!愛満でも苦手な事があるの!」
物知りで、いつも何でもあっという間に終わらしてしまう愛満の姿に。苦手な事など無いと思ってた愛之助達は、思わず驚いて声が出てしまう。
そんな愛之助達の様子に愛満は思わず吹き出してしまい。
「フッフフフ、当たり前だよ、僕だって完璧人間じゃないんだから!
まぁ、僕の事をそんなに高く評価してくれてる事は感謝する事にするけどね。」
お茶目におどけて見せ。完成して粗熱のとれた卵ボーロを可愛らしく、握力が弱い人や片手だけでも楽々に開けられる兎の形の箱に詰めながら
「それにこの卵ボーロなら、口に入れたとたんホロホロとくずれちゃうから花夜達のおやつに良いかなと思ったんだ。
他にも右里さんや朝霞ちゃん達が楽できるように花夜や皆のご飯を小分けにして冷凍しとこうとも思ってね。
愛之助達の美味しいの太鼓判も貰った事だし。皆で作った卵ボーロ、残りの卵ボーロも可愛くラッピングして花夜達の家に届けに行こうね。」
「それは良い考えでござるね!花夜達も喜ぶと思うでござるよ。…………あっ!それなら拙者は、昨日愛満と一緒に手に入れた花夜用の車椅子も持っていくでござるね。
それに拙者が選んだマイ○ロちゃんの座布団や左和用の帽子、朝霞達用のマ○メロちゃんのバックも持って行かねば!
こうしては居られないでござる!愛満、拙者ちょっと部屋から花夜達のプレゼント取ってくるでござるよ!しばし待っていて下され!」
「花夜家に行くの?やった~♪
あっ、愛之助!花夜用に作った膝掛けも一緒に持って行かなくちゃね!忘れないでね!」
「ちゃわちにいくの?マヤラちゃわとあちょぶ!!」
愛満の提案に愛之助達は大喜びし。何やら大急ぎで準備を終えると右里一家の家へと出掛けるのであった。
◇◇◇◇◇
「こんにちわ~。お忙しいところ すいません。愛満ですが」
「こんにちわ~♪タリサです~。」
「こんちわ~♪マヤラで~しゅ。」
右里宅に着いた愛満達が家の中に呼び掛ける。すると奥から右里が出てきて
「愛満さん。それにタリサ君達もこんにちわ。
今日は花夜の足の治療の日でしたね。ありがとうございます。」
愛満が自身の力を使い、毎週花夜へと行っている治療のお礼を右里が述べ。何やら目頭を熱くしながら感動した様子で
「これで何年ヵ後には花夜の足が動けるようになると思うと感謝してもしきれません。…………………あっ!すいません。こんな玄関先で長々と。それよりどうぞどうぞ、上がっていって下さい。
今日は朝から花夜の具合が良いので、愛之助君達が遊びに来てくれた事、花夜も喜びます。」
右里の言葉でお宅にお邪魔した愛満達は、広々したバリアフリー対応の部屋に通される。
そして愛之助達3人は、部屋でお絵描きをしながら遊んでいる花夜と左和を見つけると近付いていき、早速5人で遊び始める。
そんな花夜に近付いた愛満は、いつものように花夜を優しく抱き抱え。障害がある両足や喉に手を当てると何やら瞳を閉じてブツブツと呪文のようなものを唱え始め。
手を当てた場所がキラキラと淡く光輝くなか、それぞれの箇所を5分づつ自身の力を使い。いつものように治療をおこなっていく。
◇◇◇◇◇
実は愛満、花夜の障害がある両足や喉を少しでも生活しやすいように治せないかと考え、いろいろ調べたり考えた結果。
1度に全て治してしまうと逆に体に害が残り難しく。
早くても2年、遅くても4年をかけ。1週間に2~3度にわたり愛満の力を使った魔法での治療を継続的におこなう事で、走れる事は難しいのだが普通に自分の足で歩いたり、話せたり。
今は喉の関係で、軽い流動食みたいな物や柔らかく喉に負担をあまりかけない食べ物しか食べられないところ
ある程度の固さの形ある固形物の食べ物でもスムーズに食べたり飲んだり出来るまでには治せる事が解り。
愛満は花夜の体を完全に治せない事を詫びながら、右里へと自分の力を使った治療方の説明する。
すると右里は涙を流しながら大喜びして、是非ともお願いしますと何度も頭を下げ、花夜への治療を頼まれたのであった。
そして他にも朝倉学園のリーフ達を交えた話し合いで、花夜も朝倉村にある朝倉学園に通う事になり。
他の兄弟達が月曜~金曜日の週5日学園に通ってるいるところを花夜だけは体調面等を配慮し。
花夜が無理をしない範囲で、月曜~金曜日の間の週3~4日通う事にしており。
その際、花夜への付き添いの専属の先生を1人付け。(※愛満の厳しい、かなり厳しい審査のなか選ばれた先生になる。)
体調が良い時などは、普通学級で同級生達と一緒に勉強をおこない。
少し天候が悪い時や体調面などが不安定な時は、保険の先生が居る保健室へと自由に行き来できる。
空調管理が整えられ、床にはふかふかの絨毯が敷かれ(※もちろん土足禁止になる)部屋全体にクリーン魔法が施され、疲れたら直ぐに横にもなれる。
特別に整えられた保健室隣の特別教室で、専属の先生と勉強する事になる。
◇◇◇◇◇
手早く花夜への力を使った治療を終えた愛満は、楽しそうに遊ぶ4人の元へと抱き抱えていた花夜を戻し。
ある事を忘れた様子の愛之助達3人へと声をかける。
「3人とも花夜達に何か渡す物があるんじゃなかった?」
「わたちゅもにょ?……………あっ!」
「渡す物?…………………そうだ!」
「渡す物でござるか?………………あっ、そうでござった!花夜達にプレゼントがあるのでござったよ!
右里さんにも見てほしいでござるよ。」
嬉しそうに話し、魔法バックに入れて忘れていた花夜へのプレゼントでもある。
可愛らしくマ○メロちゃん柄のリボンでラッピングされた折り畳まれた車椅子を取り出し、花夜へとプレゼントする。
そして愛之助は、近くで見ていた驚いた様子の右里を呼び寄せ。
車椅子の広げ方や操作の仕方など、こと細かく取り扱い注意点や手書きの取り扱い証を見せながら教えてあげる。
「で、この車椅子にはマイ○ロちゃんの座布団をつけると完成でござるよ。
他に外用と家用の2台持って来たでござるから、これで花夜も足が治るまでの間も、外でも家の中でも1人で自由に動き回れるでござるよ♪」
自信満々に花夜専用の車椅子を愛之助大好きなマイ○ロちゃん仕様にカスタマイズすると、今だ展開についていけずにポカーンとした表情で愛之助を見ている、幼い左和へと微笑みかけ。
「もちろん、左和にもお散歩用のマ○メロちゃんの帽子をプレゼントするでござるよ。
それに学園に行っている朝霞達にも、兄妹7人で色違いでお揃いになる。お出掛け用のマイ○ロちゃんリュックやバックを持ってきたでござるよ。
はい、左和。プレゼントどうぞでござるよ♪」
「あいがとう、あいのちゅけ♪」
左和達が愛之助からのプレゼントを喜んでいると、待ちきれなかった様子のタリサとマヤラの2人も、愛満からプレゼントされた魔法バックから可愛らしくラッピングされたプレゼントの袋を取り出し。
「僕も僕も!はい、花夜。この膝掛けプレゼントするね♪
僕達が3人で作ったんだよ。レース編みになるんだ。
コースターサイズにピンクや白、黄色の糸で編んでいってね。それを組み合わせてマイ○ロちゃんの顔を作ったんだ♪
それにマ○メロちゃんの顔の回りには、愛之助が編んだ花柄や四つ葉のクローバーやハート柄、星形などを合わせたから、見た目もスゴく可愛いでしょう!
あっ、あとね、レース編みだけど裏に取り外し出来る温かいダウン素材を付けてあるから、一年中使えてポカポカだよ。
それから花夜も手先が器用だから花夜や朝霞達用の編み棒セットをプレゼントするね。
左和には、花夜のと同じように作ったマ○メロちゃんのポンチョをプレゼントだよ!」
「マヤラもマヤラも!あい、ちゃわぷれじぇんと!
こりぇ、マヤラがちゅきなもじちゅみきあげりゅの。マヤラといろちゅがいで、ときまるおいたんが|ちゅくってくれたんじゃよ《作ってくれたんだよ》。
もじのかいてありゅちゅみきをあわしぇて、こしょばをちゅくってあしょぶんだよ!
かよにいたんたちゅにも、にいたんとあいのちゅけとちゃんにんでつくちゅたみしゃんがあげゆね。」
タリサやマヤラ達がニコニコと嬉しそうに花夜や左和達へとプレゼントを渡していく。
そうして愛之助達が無事にプレゼントを手渡す姿を見届けた愛満は、右里を連れ。
右里家キッチンにある冷蔵庫に持ってきた1週間分以上はある。タッパーに詰まった様々なおかずや1食分つづに小分けされた野菜炒めセット、花夜用の柔らかく煮たおかずやお粥等を右里に説明しながら冷凍庫にしまっていく。
他にも今日の晩ごはん用にとお重いっぱい詰まったおかずやおにぎり。お鍋いっぱいに作られた、花夜も食べれる柔らかく煮たスープ、花夜や左和用のおやつの卵ボーロの説明などをし。
あまり長い時間お邪魔するのも仕事のある右里や体力のあまりない花夜が興奮しすぎて熱を出したりして体調を崩しては悪いからと考え。右里宅におじゃまして1時間後には帰る事にする。
◇◇◇◇◇
こうして愛満達の何気ない1日は過ぎていくのであった。




