夏野菜「ピーマンの肉詰め」と豊作と老夫婦
「うわー!ありがとう。大きくてツヤツヤしたピーマンだね。けど、こんなに貰っちゃって本当に良いの?」
袋一杯に入ったみずみずしいピーマンを見ながら愛満は、朝倉村へのギルドを立ち上げるさい。
ギルド職員の息子夫婦と朝倉村に移住して来た元冒険者で、茶飲み仲間で仲良しの老夫婦の妻マジュに問いかける。
「遠慮なんかしなくて大丈夫だよ。
むしろ私と主人が趣味で作った野菜で悪いんだけど、貰ってくれたら嬉しいよ。
村に移住して来てから気分転換にと始めた家庭菜園なんだけどね。ついつい体を動かす事や、レムから分けて貰った野菜苗の成長が楽しくてね。
あれやこれやと手入れしてたら、なぜだがピーマンだけが食べきれないほど採れちゃったのさ。
だけど孫達はピーマンが苦手みたいで進んで食べてくれないし。
息子夫婦と私達4人で毎日食べてるんだけど、これがなかなか減らなくなくてね。本当に困ってたとこなんだよ。
だからむしろ貰ってくれた方が助かるのよ。」
マジュが豪快に笑いながら趣味の家庭菜園で沢山実ったピーマンの事を話す。
「そうなんだ。ならマジュ婆やシゲ爺達に感謝して、ありがたく食べさせてもらうね。
あっ!そうだ。どうせなら、このピーマンを使ってお昼ご飯を作ろうかと思うから、マジュ婆とシゲ爺も茶屋でご飯食べて帰らない?
腕によりをかけた料理をご馳走するよ!」
「あら、良いのかい?」
「うん!あっ!逆にピーマン料理で悪いんだけど、大丈夫?」
「もちろんさぁ!愛満が作ってくれる料理なら何だって大歓迎だよ。
だけど…本当に良いのかい?迷惑じゃないかい?」
「ありがとう、マジュ婆。迷惑だなんて全然、全然!そんな事ないよ。
それに愛之助達もマジュ婆やシゲ爺達に会いたいと言ってたし。帰って来てマジュ婆とシゲ爺が居たらきっと喜ぶと思うんだ。」
久しぶりに晴れた満開の天気に跳び跳ねるほど喜び。花夜の所に遊びに出掛けている愛之助達の事を話ながらマジュやシゲをお昼ご飯に誘う。
「そうだね。そう言われると私も久しぶりに愛之助達に会いたいし。ねぇ、お父さん。お昼は愛満達に甘えちゃいましょうか?」
愛満の再三の誘いに山背と将棋を打っている夫のシゲにマジュが問いかけ。
「そうだな。どうせ帰ってもお前と2人だけだから、今回は愛満の言葉に甘えてお世話になろうか。」
「ヤッター!なら僕はお昼ご飯作って来るね。
マジュ婆もシゲ爺もゆっくりしていてね。山背、マジュ婆とシゲ爺の事、頼んだよ。」
「任せるのじゃ!」
大好きなシゲ爺とマジュ婆とお昼ご飯が食べれる事に喜んだ愛満は、シゲ爺と将棋を指す山背へと2人の事を頼み。
マジュ婆から貰ったばかりの新鮮なピーマンを持ち。台所へとお昼ご飯を作りに移動する。
◇◇◇◇◇
カランコロ~ン♪
「愛満~!だだいまでござるよ!」
「だだいま~!タリサが帰って来たよ~!」
「よしみちゅ~!ちゃじゃいま~!マヤラがかえちゅってきちゃよ~!」
「愛満、だだいまへけっ。」
お昼少し前に愛之助達チビッ子組が元気良く茶屋へと帰って来て、一気に茶屋内が騒がしくなり。
茶屋内に居るシゲやマジュを目敏く見つけると
「あっ!マジュ婆とシゲ爺でござる!遊びに来てたでざるか?
最近 雨が続いたけど大丈夫だったでござるか?」
「本当だ!マジュ婆、シゲ爺、久しぶり。」
「ひちゃちぶり!」
「マジュ婆、シゲ爺、久しぶりへけっ。雨や雷がスゴかったへけっね。」
嬉しそうに話しかけながらマジュ達の周りに群がり。一通りじゃれ、満足した様子で話を終えた所。
何やら思い出した様子で、急にワタワタし始め。少々慌てた様子のなか、お昼ご飯の準備をお手伝いし始めた。
そうしてお昼ご飯の準備を進めるなか。愛之助がちゃっかり自分と愛満の隣の席にマジュ達2人の席をもうけ。
シゲとマジュの2人に座ってもらうようにテーブルセットをしつつ、嬉しそうに2人に話しかけると
「マジュ婆とシゲ爺は拙者と愛満の隣の席に座るでござるね。」
「あっ!愛之助、ズルい!ならマジュ婆の隣は僕の席にしてほしいへけっ!」
「2人ともズルい!なら僕はシゲ爺の隣に座る!」
「あっ!えっと、にゃら、にゃら…………!!、マヤラはよしみちゅのひざにちゅわる!」
光希達が騒ぎだし。ちょっとした関取合戦が勃発しているなか。
座る場所を巡って小競り合いが起きてるなど知らない愛満が
「皆 お待たせ~!お昼ご飯が出来たよ。」
いつものようにワゴンいっぱいに料理を乗せ茶屋内へと戻って来て、まだまだ台所に並ぶ料理やお箸、取り皿等を運んでくれるようにお願いし。
少々席順で揉める等をしたものの。愛之助達お待ちかねのお昼ご飯の時間が始まるのであった。
◇◇◇◇◇
「うわー美味しそう!これ何?」
タリサが初めて見る料理に興味を持ち。興味津々な様子で愛満へと質問すると、膝の上に座るマヤラのお世話をしていた愛満が手を止め。
「コレ?コレはね。マジュ婆とシゲ爺が端正込めて育てて収穫したピーマンを使って作った『ピーマンの肉詰め』だよ。
一応『ピーマンの肉詰め』のソースとして、ケチャップとウスターソース、醤油、砂糖を混ぜて作ったケチャソースを作ったら、良かったらお好みでかけて食べてみて」
タリサからの質問に平穏を気取りながら答えつつも
実は異世界へと来る前、甥っ子や姪っ子の影響からチビッ子達のピーマン嫌いを良く知る愛満は、少々ドキマギした様子でタリサの様子を見つめ。
「へぇ~『ピーマンの肉詰め』て言うんだ。初めて見た。
それからソースね。了解了解!
えっ~と、まずは食材の味を楽しむためにそのままで食べてみて、それからケチャソースかけて食べてみるね♪」
そんな愛満の様子に気付かないタリサは、愛満の答えに大きく頷き。
戦争中の食糧難などの影響から香菜系の野菜以外特に好き嫌いの無いタリサは、子供が嫌いな野菜1位のピーマンを使った『ピーマンの肉詰め』を自分の小皿に取り。
まずはシンプルに一個ピーマンの肉詰めを食べ。何やら納得した様子で大きく頷き。
今度はケチャソースをたっぷりとピーマン肉詰めにかけると何の躊躇もなく。また大きく口を開けて、ピーマンの肉詰めをモリモリ食べ進め。
「う~~~ん♪美味しい~!
愛満、愛満~!あのね、ピーマンがね。ほんのり甘くて、ピーマンの中に詰め込まれたお肉もジューシーで、ピーマンとも良く合ってスゴく美味しいの!
それにこの甘じょっぱいソースがたま良くて、ピーマンの肉詰めと良く合ってるね。」
初めて食べたピーマンの肉詰めに興奮した様子で、愛満へと『ピーマンの肉詰め』の感想を教えてくれ。
そんなタリサの話に刺激を受けたのか、同じ『ピーマンの肉詰め』を食べ進めていた光希やマヤラ達も口々に
「愛満、愛満!この『ピーマンの肉詰め』本当に美味しいへけっね。ケチャソースとも良く合ってるへけっ♪」
「おいちいね。マヤラ、このピーマンにゃら、あまくちぇたべれる!」
『ピーマンの肉詰め』の感想を嬉しそうに愛満に教えてくれ。
「うんうん。愛満お手製の『ピーマンの肉詰め』は本当に美味しいでござるね。
この蒸し焼きにされたピーマンの食感とお肉のハーモニーが口の中に広がり。実に最高でござる!
それにマジュ婆とシゲ爺が育てたピーマンを使った『ピーマンの肉詰め』になるでござるから、なおの事美味しいでござるよ!
マジュ婆、シゲ爺。こんな美味しいピーマンをくれて本当にありがとうでござる。」
1人、本日のお昼ご飯のピーマンがマジュとシゲから頂き物だと愛満から聞いて知っている愛之助は、愛満に『ピーマンの肉詰め』の感想を伝えると共に
ピーマンをくれたシゲとマジュへ感謝の気持ちを伝える。
するとそんな愛之助の言葉にタリサ達が頬をふくらませ『美味しい、美味しい』と『ピーマンの肉詰め』を食べ進める姿を微笑ましそうに見つめていたマジュとシゲが
「そうかい、そうかい。それは良かった。
私達が作ったピーマンをこんなにも美味しい、美味しいと食べてもらえて、私もお父さんも汗水垂らしてピーマンを作ったかいがあったよ。ねぇ、お父さん。」
「あぁ、そうだな。こんなに喜んでもらえて本当に嬉しいよ。」
何度も頷きながら嬉しそうに満面の笑みをうかべ話。
愛之助の話で、今食べているピーマンが大好きなシゲとマジュが育てたピーマンだと知ったタリサ達は、慌てた様子で口の中に詰め込んだ『ピーマンの肉詰め』を飲み込み。口の端にケチャソースがついてるのにも気付かぬまま。
「マジュ婆、シゲ爺!僕もマジュ婆とシゲ爺が作ったピーマン美味しいよ!」
「マヤラも!マヤラも!こにょピーマンおいちい!」
「僕も、僕も!このマジュ婆とシゲ爺が育てたピーマン美味しいへけっ!
マジュ婆、シゲ爺、こんなに美味しいピーマン食べさせてくれてありがとうへけっ!」
シゲ爺とマジュ婆にお礼の気持ちを伝え。
愛之助達チビッ子組が『ピーマンの肉詰め』と共にシゲ爺とマジュ婆とのお喋りに夢中のなか。
シゲ爺やマジュ婆、愛満達の正面の席に座り。先ほどから黙々とお昼ご飯を楽しんでいる山背や美樹、黛藍達3人も
「旨いのう~♪こっちの『ピーマンと人参のきんぴら』も絶妙なシャキシャキとした食感が残っておって、実に旨い!」
「うんうん!ピーマンと人参を使ったきんぴらも旨いよな。
俺、ゴボウや蓮根以外のきんぴら初めて食べたぜ。
それにこの『ピーマンとししとうの辛煮』醤油味の佃煮風に煮てあって。赤唐辛子やしし唐辛子のピリッとした味が白飯と良く合い旨かった。
コレ、晩も残ってたら今度は酒のあてに出してもらおう♪」
「おっ!それはナイスアイデアなのじゃ!
よし!ならワシが後で愛満にお願いして、酒のあてに『ピーマンとししとうの辛煮』や『焼き明太子』なんかを出してもらうように手配するのじゃ!」
「もぅ~!美樹も山背も本当にお酒が好きアルね!
それより、この『カラフルピーマンの豆腐の和え物』を食べてみるアルよ!
このひし形に切られて茹でられた緑や赤、黄のピーマンか彩り豊かで、目でも楽しめ綺麗アルし。
みじん切りされた干し海老やザーサイ、白ネギ、生姜、水切りされた木綿豆腐がピーマンと和えられ、とっても美味しかったアルよ。
うんうん!このアッサリとした塩味と胡麻油の香りが食欲をそそり、ついつい手がのびちゃうアルよ♪」
他のピーマンを使った副菜のピーマン料理に舌鼓をうち。
まだまだ日が高いお昼な為。お酒に合いそうなツマミを前にお酒を飲めない事を嘆く。
◇◇◇◇◇
そうして皆がそれぞれ楽しげにお昼ご飯の時間を楽み、味わっていると。
何やら思い出した様子の愛満が、ご飯のお代わりを注いだご飯茶碗を山背に手渡しつつ。
「あっ!そうだ。ご飯の後にデザートも有るからね。
みんなそこんとこ考えてお腹のスペースをデザート分空けておいてね。」
「えっ!デザートが有るの!?ヤッター!デザートだ!
ねぇねぇ、愛満。今日のデザート何?」
「デザートが有るへけっか!?嬉しいへけっ♪」
「ヤチャ~~~♪デジャート、たのちみ!」
「デザートがあるでござるか!?それは楽しみでござるよ!
…………所で愛満、デザートは何でござるか?」
皆にデザートが有る事を伝え。
デザートが有る事に愛之助達チビッ子組が大喜びし。デザートの中身を聞き出そうと更に賑やかになるなか。
そんな様子をシゲ爺とマジュ婆の2人が優しい微笑みと共に楽しそうに見つめ。
その日万次郎茶屋でのお昼ご飯の時間は、実にほのぼのした和やかな空気の中。ゆったりした時間が過ぎていく。
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脱字、誤字が多々ある作品ですが、こらからもよろしくお願いします。
【夏野菜「ピーマンの肉詰め」と豊作と老夫婦、の登場人物】
・シゲ
山背の将棋仲間、元冒険者、少々口下手なご老人
息子夫婦と仲良く同居中
妻のマジュと共に最近趣味の園芸にドハマリし。日々汗水垂らして頑張っているご様子
・マジュ
愛満のお茶友達、元冒険者
夫シゲが口下手な為か良く喋り、お喋り大好きなご婦人
共働きの息子夫婦と同居中な為、何十年かぶりの子育て(孫育て)を夫シゲと共に楽しみながら頑張ってるご様子
朝倉村でギルドを立ち上げるさい。ギルド職員になる息子夫婦と共に村へと移住してくる
村へと移住して来てから気分転換にと家庭菜園を始めるのだが、今回何故かピーマンだけが大収穫になる
ちなみに可愛い孫達はピーマンが苦手なご様子
・愛満
安定のお爺、お婆のお年寄りを大切にし、お年寄り好き
なので村に住み、老夫婦になるマジュやシゲとも仲良し
・愛之助
愛満にならい、安定のお爺、お婆のお年寄りを大切にし、お年寄り好き
・タリサ、マヤラ、光希
愛満や愛之助にならい、お年寄りを大切にし、大好きなチビッ子3人組
今回子供が嫌いな野菜第1位のピーマンを前にして愛満が少々ドキマギするなか
戦争の食糧難の影響等から好き嫌いが少ないチビッ子3人組は、『美味しい、美味しい』と話。ピーマンを使った料理をモリモリと食べ進めてくれるご様子
・山背
亀族のご老人、見た目:二足歩行の陸亀
今回『ピーマンと人参のきんぴら』を気に入ったご様子
大の酒、将棋好き
・美樹
日本生まれ日本育ちの男性、とある事件に巻き込まれ異世界へと無理矢理やって来る、元勇者
美容師免許を持ち、朝倉村の美容師さん
今回『ピーマンとししとうの辛煮』が気に入ったご様子
大の酒好き
数少ない歴代の彼女が何故か重度の料理下手な為。少々煮物料理や焼き料理等々、黒歴史が有る
・黛藍
ササ族の男性、見た目:子パンダ、美樹の親友、貴族
今回カラフルな色合いで見た目も綺麗な『カラフルピーマンの豆腐のあえ物』が気に入ったご様子




