「似顔絵クッキー」と父の日と宝探し
その日万次郎茶屋では、愛満と山背の2人が『万次郎茶屋限定ヒント』と冷たいお茶やお茶菓子を振る舞いながら、とあるイベントの手伝いをしていた。
◇◇◇◇◇
「そうじゃ。次の宝は、今までお主達が力を合わせ集めたヒントの紙をこの木の枠にはめると見えてくるのじゃ。
そうそう、父と子で力をあわせてヒントを読み解くのじゃよ!」
何やら白いマントを着た。まるで賢者のような風貌をした山背が、万次郎茶屋限定ヒントを求めやって来た村人の親子に茶屋限定ヒント以上の事をコッソリ伝えながらエールを送っていた。
そしてその近くの茶屋内カウンター席では、愛満がイベント休憩所にも指定されている。万次郎茶屋へと休憩&ヒントを貰いにやって来た愛之助と光貴のペアにお茶やお茶菓子を振る舞い。
「はい、水筒の麦茶補充したよ。今日は暑いから途中こまめに水分補給するんだよ。」
「解ったでござるよ、愛満。それにありがとうでござる。」
「解ったへけっ!愛満、ありがとうへけっねぇ~♪」
「うんうん、2人とも良い返事。何度も言って悪いけど、くれぐれも脱水症なんかに気を付けてね。
……………それでと言う訳じゃないけど、どう?2人とも宝探しは順調に進んでる?」
空になった2人の水筒に冷たく冷えた麦茶を補充してあげながら、たまたまお客さんの足が引いた事もあり。愛満は2人のイベント進行状況を質問する。
そんな愛満の問い掛けに、お茶菓子の『黒糖饅頭』を頬をほんのり膨らませ、モグモグと幸せそうに味わいながら食べていた光貴と愛之助の2人が
「バッチリへけっよ!!愛之助と2人で謎を解いたり、指令をクリアしたりして、あと2つでゴール出来るへけっ!
ね、愛之助。もうちょっとでゴール出来るへけっよねぇ♪」
「うん、そうでござる!拙者と光貴にかかればコレのくらいの謎解き楽々でゴール出来るでござるよ!
だから愛満、拙者達が上位でゴールして帰って来る事を楽しみに美味しいごちそうを準備して待っていてでござるねぇ~♪」
何やら自信満々の様子でイベントの進行具合を教えてくれ。
イベントご褒美にと、今日の夜ご飯にと2人の好物のごちそうをちゃっかりおねだりし。更に続けて
「それから愛満、この黒糖饅頭本当に美味しいでござるね。一口サイズで食べやすいでござるよ。
それでその………良ければ、この黒糖饅頭少し貰っていっていいでござるか?
やはり頭を使って謎を解いたり、村中歩き回ったりするでござるからイベントの間お腹が空いたのでござるよ。
それに何やら体が糖分を欲し、拙者の頭へと何度も何度も要求してくるのでござるよ。」
まずは万次郎茶屋でも販売している愛満お手製の一口サイズの『黒糖饅頭』を誉めてくれ。
続けて、ついつい笑みが溢れてしまうような持論を話しつつ。愛満へと『黒糖饅頭』をおねだりする。
そんな愛之助のおねだりに、ついつい笑みがこぼれてしまう愛満であったが、勿論弟に甘い愛満は二つ返事でオーケーサインを出し。
愛之助達が持ち運び出来るようにと『黒糖饅頭』を包んであげる。
そうして万次郎茶屋で十分過ぎるエネルギー補給や茶屋限定ヒントを受け取った愛之助達2人は
「よーーーし!!光貴、愛満お手製の『黒糖饅頭』の元気薬をゲットしたでござるから、この『黒糖饅頭』を残りの宝探しをしながら途中途中食べ。残り後半の謎解き頑張るでござるよ~!」
「えっ!本当へけっか!?それはナイスアイデアへけっ、愛之助!!
うんうん。愛満お手製の『黒糖饅頭』と言う名の元気薬を食べたら、きっと十万馬力へけっね!
もしかしたら、あっという間にゴール出来るへけっかも~~♪
よ~~し、今トップ3位以内に入ってるへけっから、同じくトップ3位以内のタリサ達に負けないように早くゴール目指すへけっよ!」
茶屋内出入口でメラメラと闘志を燃やし。
「愛満、ごちそうになったでござるよ。
それでは拙者達、また戦場に行ってくるでござる!山背もお勤め頑張るでござるよ。」
「愛満、ごちそうさまへけっ。1位でゴール出来るように頑張ってくるへけっね!美味しいごちそうと一緒に楽しみに待ってへけっ♪
それじゃあ、愛満、山背。行ってきま~~~すへけっ♪」
茶屋出入口までわざわざ見送りに来てくれた愛満と山背に声をかけ。愛之助と光貴の2人は慌ただしく宝探しに戻って行き。
「うん、怪我しないように楽しんでおいでね。いってらしゃい~~♪」
「おう!愛之助も光貴も頑張るのじゃぞ~~!いってらしゃい~~♪」
そんな愛之助達2人を愛満と山背は送り出すのであった。
◇◇◇◇◇
そもそも愛之助と光貴が慌ただしく戻って行った。
とあるイベント事、『宝探し』イベントとが何かと言うと
6月19日に町主催で開催されている父と子で村中に隠された謎を解いたり。出される指令をクリアし。
とある場所に隠された宝と捕らわれた母親を助け出すという『父の日』の限定イベントになり。
何ヵ月か前に開催された『母の日』のイベントのさいに愛満がポロリと『父の日』の事を話した事により。
話を聞いた朝倉学園のターハが日頃仕事などで忙しく子供達や家族と交流をとれない父親達の為にと、何か家族で交流がとれるイベント等が出来ないかと愛満に相談。
その後、他の者なども加えて話し合い。考えに考えて誕生されたイベントで
コッソリ裏設定を教えると
捕らわれた設定の母親や、ちょっとした宝入りの宝箱は、灯台もと暗しならぬ各々の自宅に有り。
日頃、家事や育児、仕事で何かと忙しい母親達の為。
それぞれ宝が置いてある家(自宅)で思い思いに寛いでもらったり。自分1人の時間を楽しんでもらい。
旦那と子供達が無事謎を解き明かし。自宅へと帰って来るのを待ってもらいながら、家族の為に腕によりをかけたごちそうを作るもよし。
帰って来た家族と外食に行く為。日頃なかなか出来ないオシャレを楽しんでもらうもよし、とも考えられたイベントになり。
大々的に発表される最後の謎の答えは、隠されたお宝と捕らわれた母親は、何を隠そう自分達の家(自宅)に居て
ゴールが家(自宅)だと言う訳は、何故ならば父親が毎日汗水垂らして必死に働くのも。
会社で辛い思いをして我慢できるのも大切な家族を食べさせ、守る為に他ならぬ。
そして家族皆で暮らす家(自宅)は、家族みんなを雨風や外敵から守り。家族が怯えず、安心して暮らせる場所になり。
愛満達は、そんな家(自宅)を宝を包む宝箱に見立て
綺麗な額縁入りの家族写真を宝探しの宝として各家庭にコッソリと渡してあるのだ。
そして家族がいまだ見付かっていない光貴は、愛之助が父親変わりにペアを組み。
イベント休憩所に指定されて店(万次郎茶屋)を離れられない愛満や山背達に応援され。
2人で力を合わせ、父の日の宝探しイベントに参加していた。
◇◇◇◇◇
そしてその後、訪れる村人達に万次郎茶屋限定ヒントやお茶、お茶菓子を振る舞うと言う忙しい時間が過ぎ。すっかり人影もなく。
仕事終わりの黛藍や山背達と愛之助達が帰って来るのをの~んびりお喋りしながら待っていると
愛之助と光貴の2人が仕事終わりの美樹と連れ立ち。繋いだ手をブンブン振り回しながら満面の笑みを浮かべて茶屋へと帰って来る。
「愛満、山背、黛藍、ただいまへけっ!」
「ただいま帰ったでござるよ!」
「ただいま。お疲れさん~~。」
「「お帰り(なのじゃ。アルヨ。)」」
「あれ?美樹も一緒になったんだね。お帰り。そして3人ともお疲れ様。
けど愛之助も光貴も遅かったね。もう少し早く帰って来ると思ってたよ。」
愛之助達3人を迎えながら愛満が話しかける。
するとそんな愛満の問い掛けに愛之助が何やら胸をはり。とある物が入った箱を見せつけるようにして愛満達の前に置き。
何やら突然しみじみと話し始め。
「いやいや、愛満。実はでござるね。最後の指令がとっーーーーーても難しかったのでござるよ。」
「えっ?最後の指令!?なにそれ聞いてないんだけど…………?その胸に下がってる物と関係あるの?」
愛之助が話す最後の指令とやらに心当たりが無い愛満が首を傾げながら愛之助に質問すると、満面の笑みを浮かべた愛之助が
「そうでござる。この似顔絵クッキーを作っていたでござるよ!」
「似顔絵クッキーアルか?」
「似顔絵クッキー何なのじゃそれは?」
初めて聞く『似顔絵クッキー』なる言葉に愛満始め黛藍、山背達も首をかしげるなか。
サプライズが成功したとばかりにしめしめ顔の愛之助が
「父の日限定の『似顔絵クッキー』でござるよ!
最後の指令会場に置いてあるクッキー生地を使い。父上殿や家族皆の似顔絵クッキーを作り。係りの人に焼いてもらうのでござるよ。
そして用意されたメダル風の袋にラッピングしたり。希望する者は箱詰めも出来。父上殿にプレゼントしたら指令クリアでゴールなのでござるよ。」
箱の中身が愛之助が作った『似顔絵クッキー』なる物だと教えてくれ。
「実はでござるね。拙者と光貴は茶屋を出発した後、あれから巻き返して2位になったでござるよ。
しかし似顔絵クッキーを見た光貴のどうしてもとの願いから、今の今まで少し時間がかかってしまったのでござるよ。
だから愛満。拙者達1位ではないでござるが、ちゃんと約束は守ったでござるから安心するでござるよ。
と、いけないいけないでござる。ほら、光貴。皆に渡す物があるのでござろう。」
愛之助が何やら慌てた様子で話終え。帰って来てから愛之助の後ろにモジモジと隠れた光貴を前に押し出し。渡す物があるのだろうと即す。
すると何やら恥ずかしそうにモジモジした様子の光貴が
「……………あ、あのへけっ。父の日の『似顔絵クッキー』だけど日頃の感謝のお礼のクッキーとも聞いたへけっ。
………だから、………だから皆に『似顔絵クッキー』を送りたいと思ったへけっから………遅くなるとも思ったへけっが、愛之助にも手伝ってもらって作ったんだへけっ。……………う、受け取ってくれるへけっか?」
緊張のあまり途中途中言葉をつまらせながら愛満や山背、美樹、黛藍のそれぞれの首にメダル風にラッピングされた似顔絵クッキーを自身が持つ紙袋から出してかけてくれ。
「愛満、いつも美味しいご飯や優しくしてくれてありがとうへけっ。」
「ううん。こちらこそありがとうだよ。それにしても上手に出来てるね。僕そっくりだよ。光貴、ありがとう。凄く嬉しいよ。」
「山背、いつも一緒に遊んでくれてありがとうへけっ。」
「ワシにも作ってくれたのか。光貴、ありがとなのじゃ。本当に嬉しいのじゃ。」
「美樹、いつも一緒に遊んでくれたり、勉強教えてくれてありがとうへけっ。」
「こっちこそ、ありがとうな。大変だったろう。
しかし本当にそれぞれの特徴をとらえてそっくりに作れてるな。光貴、本当にありがとう。」
「黛藍、眠れない夜はこっそり一緒に寝てくれてありがとうへけっ。」
「そんなこと子供は気にしなくても大丈夫アルよ。これからも遠慮せずに黛藍の所に来ると良いアルね。
うんうん。黛藍のかっこよさが上手くてでるでアル。
光貴、ありがとうアルね、本当に嬉しいアルよ。」
光貴から『似顔絵クッキー』と日頃の感謝の言葉を貰った4人は感激した様子でお礼を言い。
嬉しそうに光貴から貰った似顔絵クッキーを見詰め。
更に愛之助お手製の箱に入った似顔絵クッキーも受け取り。
改めて頑張った光貴、愛之助達2人にお礼の言葉を伝えると、何やら愛之助が愛満の隣にソソッとやって来て
「愛満、ビックリしたでござるか?」
「うん。愛之助達がなかなか帰って来なくて心配したし。僕の知らない企画の『似顔絵クッキー』作りとか言うからビックリしちゃった。
けど『似顔絵クッキー』作りなんて素敵な企画、誰が企画したんだろう?愛之助知ってる?」
愛之助からの問い掛けに自身も父の日のイベント企画に参加していた愛満は、似顔絵クッキー作りの企画を知らなかった為。
少々驚いた様子ながら素晴らしい企画だと誉めつつ。
何やらしたり顔の愛之助に何か知ってるかと逆に質問する。
すると嬉しさのあまり顔をクシャクシャにして満面の笑みで喜びを爆発させる愛之助が
「実はでござるね。父の日の似顔絵クッキーなる企画、拙者が企画したのでござるよ。
父の日のイベント企画を考えてたおり。家の書庫で似顔絵クッキーなるお菓子本を一目見てでござるね。
これは父の日にピッタリな企画だと思い。愛満に内緒で企画を進めていたのでござる。」
嬉恥ずかしそうに教えてくれ。
改めて愛之助や光貴から受け取った『似顔絵クッキー』を手にした愛満は暫しの間、本当に嬉しそうに『似顔絵クッキー』を見詰め続け。
光貴のお腹から聞こえてきたお腹の虫の鳴き声に
「あっ、ごめんごめん。みんなお腹空いてるよね。
それじゃ、今日は光貴も愛之助も宝探しを頑張った事だし。山背も茶屋の手伝いをしてくれて、黛藍も美樹も日頃仕事を頑張ってるご褒美に
皆の大好きな料理や、お祝いに2人の大好きなごちそうをいっぱい作ってあるから、皆の健闘を讃えてお祝いしょうか!」
光貴や愛之助達に声にかける。
すると一瞬、愛之助達2人はキョトンとした顔をしたのだが、次の瞬間には
「えっ!ごちそうへけっ?ヤッター♪
今日はごちそう食べれるへけっ♪嬉しいへけっ~!まさか本当にごちそうが食べれるとは思わなかったへけっ!」
「ヤッター!ものは言ってみるものでござるね!あ~~ぁ、拙者お腹ペコペコでござるよ。」
跳び跳ねんばかりに喜び。愛満の後をカルガモの雛のようについていき。
茶屋内からごちそうが準備してある愛満宅へと移動するのであった。
◇◇◇
こうして、朝倉村初の『父の日』の宝探しのイベントは大成功に終わり。
その日朝倉村の各家庭の家ではアチラコチラから楽しそうな笑い声が、村中に響いたのであったとさ。
ブックマーク、お気に入り、評価・コメントくださる方、本当にありがとうございます。
誤字、脱字が多々ある作品ですが、これからもよろしくお願いします。
《「似顔絵クッキー」と父の日と宝探し、の登場人物》
・光貴=今回、愛之助と一緒に力を合わせ宝探しイベントを頑張ると共に満喫する
・愛之助=今回、光貴と一緒に力を合わせ宝探しイベントを頑張ると共に満喫する。
・山背=今回、とある魔法省の校長のコスプレを自ら進んでし。万次郎茶屋で宝探しイベントのヒント係をノリノリで楽しんでいたご様子。
その為、自身が楽しみ過ぎて、ヒント以上のヒントを教えていた
・愛満=今回、父の日の宝探しイベントの企画から携わり、村のみんなが楽しめるよう頑張る
・黛藍、美樹=今回、万次郎茶屋同様、ヒント場所になる自分達のお店で宝探しイベントに貢献、頑張っていた




